名寄 市と警察などがクマ対策でドローン活用へ 協定締結

クマの出没が相次いでいることを受けて、名寄市と名寄警察署などはドローンで上空から住民に注意を呼びかけるなど共同で対処する協定を結びました。

警察によりますと、クマ対策でドローンを活用する協定が結ばれるのは道内で初めてだということです。
協定を締結したのは▼名寄市と▼名寄警察署、そして▼市内でドローンのスクールを運営する企業で、4日、加藤剛士市長などが協定書に署名しました。
協定では、市内でクマが出没した際に、市と警察が協議して、住民に危険が及ぶ可能性が高いと判断した場合、企業にドローンの出動を要請します。
要請を受け、企業はドローンを飛ばして上空からクマを追跡して位置を特定するほか、大きな音を出して追い払ったり、住民に注意を呼びかけたりするということです。
4日は企業の担当者がドローンを飛ばしてクマの追い払いを実演し、機体の下に付いているスピーカーから猟犬がほえる声を大音量で流していました。
警察によりますと、クマ対策でドローンを活用する協定が結ばれるのは道内で初めてだということです。
名寄市の加藤市長は「クマの出没が去年よりも多く、安全対策をしっかりととらなくてはいけないと危機感を覚えている。ドローンの活用はこれまでにない対策であり、クマ対策の有効な武器になると思う」と話していました。

【名寄市ではクマの目撃・被害相次ぐ】
名寄市によりますと、ことし初めてクマの出没情報が寄せられた3月29日から6月3日までに市内で確認されたクマの目撃や痕跡の件数は34件で、去年の同じ期間と比べて15件増えています。
このうち、4月18日には市内中心部の住宅地で複数回、目撃され、翌日、同じ個体とみられる体長1メートル30センチほどの1頭が地元の猟友会によって駆除されました。
また、4月25日には名寄市智恵文の林道で愛知県から観光に訪れていた男性が体長1メートル40センチ前後のクマ2頭と遭遇。
このうち1頭が襲いかかってきたため、顔を蹴ったところ、2頭とも山奥に逃げていったということです。
男性にけがはありませんでした。
さらに、クマによる被害も出ています。
先月31日には名寄市日進にある畜産会社の工場敷地内で保管していた牛の皮が荒らされているが見つかり、近くにクマのものとみられる足跡やフンが残されていたことから、警察はクマが侵入して荒らしたとみています。
工場の近くでは▼31日夜、東におよそ350メートル離れた道道でクマ1頭が横断するのが目撃されたのに続いて、▼翌日の6月1日には東におよそ800メートル離れた畑に幅20センチほどのクマの足跡が複数あるのが見つかりました。
名寄警察署は目撃されたクマが工場に侵入した個体と同じ可能性があるとみて、周辺をパトロールして警戒を続けるとともに、住民に注意を呼びかけています。