クマ対策 管理難しい果樹の伐採を支援するボランティア活動

道内でクマを目撃したり足跡やふんを見つけたりした人からの警察への通報は今月に入って30日までに、288件にのぼります。クマの出没が相次ぐなか、札幌市南区では、クマがエサとなる果物を探しに人里に近づくのを防ごうと、管理が難しくなった果樹の伐採を支援するボランティア活動が行われています。

この活動は、高齢化などによって管理が難しくなった果樹について所有者が伐採を希望した場合、ボランティアが支援するもので、札幌市の▼環境をテーマに活動している市民団体と、▼クマ対策を手がけるNPO法人▼それに市が合同で4年前から行っています。
ことし一回目の活動が30日行われ、ボランティアなどおよそ20人が参加しました。
果樹の伐採を決めたのは札幌市南区北ノ沢の住民で、所有地で何本ものさくらんぼの木を育て、収穫を楽しんできましたが、高齢になるにしたがって管理が難しくなってきたということです。
そして去年6月、所有地のさくらんぼの木の近くでクマを目撃したということです。
午前5時ごろ、親子とみられるクマ3頭がいるのが自宅から見えたということで、クマが去ったあと現場を確認したところ、複数の木でクマがよじ登ったような痕があったほか、フンも見つかりました。
クマを目撃した70代の女性は「家に住み始めて50年たちますが、初めてクマを見てびっくりしたし怖かったです。こうして作業してくれるのは助かっています」と話していました。
いまの時期、さくらんぼの木には青い実がついていて、6月にかけて赤く熟していくということで、その前に伐採をすませようと、ボランティアたちはこの日、10本ほどの木をチェーンソーで切り倒し、のこぎりなどでさらに小さく切断して運んでいました。
また、周囲の草刈りも行いました。
参加した南区に住む70代の男性は「クマの足跡もよく見ることもあり参加しています。伐採や草刈りで見通しが良くなれば、クマがでにくくなると思います」と話していました。
今回の活動を企画した市民団体「エコ・ネットワーク」代表の小川巌さんはクマにとってふきなどのエサが少なくなるこれからの時期、放置され実をつけた果樹はクマを引き寄せる恐れがあるとしたうえで「クマ対策をすべて役所任せにするのではなく自分たちでもできることがあるのではと、活動を続けている」と話していました。
札幌市によりますと、市内におけるクマの目撃情報は去年は227件でこのうち、8件がさくらんぼの実を食べたり木の枝が折れるなど果樹が関係していたということです。