新幹線札幌延伸 有識者会議座長“開業の目標時期は一定の幅”

北海道新幹線の札幌延伸について建設主体の鉄道・運輸機構が目標とする2030年度末の開業が極めて難しいという見通しを示したことを受けて、国土交通省の有識者会議の座長らが北斗市のトンネル工事現場を視察しました。有識者会議の座長は、札幌延伸の時期を確定的に示すことは難しいとして、開業が遅れる場合の新たな目標時期は一定程度幅を持たせて示す考えを示しました。

北海道新幹線の札幌延伸について鉄道・運輸機構は今月8日、2030年度末の目標の達成は極めて難しいという見通しを国土交通省に報告し、国土交通省は有識者会議を開くなどして報告内容を精査して、開業時期を延期するかどうか判断することにしています。
27日は、有識者会議の座長ら4人が工事の状況を把握するため、渡島トンネルの北斗市の工区を視察しました。
渡島トンネルでは、土砂を含む湧き水がトンネル内に流入し掘削作業が中断したことなどから、工事に3年から4年ほどの遅れが出ています。
27日の視察は冒頭を除いて非公開で行われましたが、鉄道・運輸機構によりますと、地盤を改良するための薬液を注入して掘削するなど追加の対策を行っているため、掘削スピードが計画よりも70%ほど遅れている状況を説明したということです。
有識者会議の座長を務める政策研究大学院大学の森地茂名誉教授は視察のあと「可能なかぎりの手段を講じて正確な工期を想定したいが、確実にいつになるという話をするのは難しい」と述べ、有識者会議としては札幌延伸の時期を確定的に示すことは難しいとして、開業が遅れる場合の新たな目標時期は一定程度幅を持たせて示す考えを示しました。
一方、沿線自治体や経済団体などは開業時期を早期に示すよう求めていますが、新たな目標時期をとりまとめる時期については未定だとしています。
【小樽市長「早期に開業時期を示すよう要望」】
北海道新幹線の札幌延伸に伴い、小樽市では、JR小樽駅から南側におよそ4キロ離れた場所に新幹線の駅が建設されます。
市では、新幹線の駅の開業にあわせて周辺に最大およそ460台がとめられる駐車場を13億円余りかけて整備することにしていて、現在の計画では2027年度の着工を予定しています。
北海道新幹線の札幌延伸について建設主体の鉄道・運輸機構が2030年度末の開業が極めて難しいという見通しを示したことについて、小樽市の迫俊哉市長は27日開かれた定例の記者会見で、「札幌延伸の延期が決まればこのまま駐車場の工事を進めていくわけにはいかない。設計は予定通り終えたいが、工事については開業の時期に合わせて延期せざるを得ない」と述べ、札幌延伸の時期が延期された場合は、それに合わせて駐車場の着工も現在の計画から遅らせる考えを示しました。
また、「北海道新幹線の開業が先送りされることは各沿線自治体に少なからず影響がある。できるだけ早期に開業時期を示していただきたいという要望活動を重ねていきたい」と述べた上で、鉄道・運輸機構に対し、引き続き早期の開業を要望していく考えを重ねて強調しました。