野菜高騰で家庭菜園が人気 クマ対策の呼びかけも

天候不順などの影響で野菜の高値が続くなか、札幌市の園芸店では、家庭菜園などで野菜を育てようと、苗を買い求める人が増えています。

農林水産省が全国の販売店舗で調査してまとめた主な野菜の価格動向によりますと、先週の小売価格は、いずれも平年と比べて、▼キャベツが1.88倍、▼にんじんが1.48倍、▼レタスが1.31倍、▼トマトが1.2倍などと高くなっています。
こうしたなか、およそ500種類の野菜や果物の苗を取り扱っている札幌市北区にある園芸店では、家庭菜園などで野菜を育てようと苗を買い求める人が増えているということです。
ことしは例年より1か月ほど早い4月中旬ごろから苗を買い求める人が増え始め、去年の同じ時期と比べて1割ほど売り上げが伸びていて、特にトマトの苗が人気だということです。
札幌市の70代の女性は、「レタスやほうれん草の値段が高くなっているなと感じます。値段が高くなっている野菜を育ててみようと思いますし、自分で育てた野菜の方がおいしく感じます」と話していました。
夫婦で来ていた札幌市の70代の男性は、「野菜の値段が高くなったなと感じます。夏場に作ったトマトを冷凍して冬場にも食べられるようにしています」と話していました。
「花のとびつか」の青木ゆかり店長は、「サニーレタスなどの葉物野菜の苗がよく売れていて、野菜の値段が高くなったことで、今まで育てたことがない野菜を育ててみようという人も多いです」と話していました。
【クマ対策に電気柵の設置呼びかけ】
札幌市では、家庭菜園の農作物をねらうクマを寄せつけないよう、電気柵の設置を市民に呼びかけています。
札幌市では、クマが市街地に侵入するのを防ぎ、農作物の被害も防ごうと、家庭菜園で野菜を育てる市民に電気柵を無償で貸し出す取り組みを行っています。
市によりますと、クマが家庭菜園の農作物を食べて人間が作った食べ物の味を学習すると、市街地に繰り返し出没するきっかけになる場合があるということで、市では、電気柵に触れたクマに刺激を与え、農作物に寄せつけない効果を期待しています。
市は今シーズン、50セットの電気柵を用意して先着順で申し込みを受け付けていて、来月から10月まで無償で貸し出すことにしています。
また、電気柵を購入する60人の市民を対象に、購入金額の半分を最大4万円までの条件付きで補助する取り組みも行っています。
電気柵を設置する際は、支柱を立て、電気が流れるワイヤーロープを張って畑を取り囲み、専用の装置で電気が流れているかどうかを確認します。
電気柵を個人で設置するのは難しいということで、電気柵を市から無償で借りる人や、市の補助を受けて取り付ける人は、業者のサポートを受けることができるということです。
市は、25日と来月22日に、電気柵を設置する際の注意点などを説明する講習会を開くことにしています。
札幌市の坂田一人環境共生担当課長は、「家庭菜園の作物を守りながらヒグマなどの野生動物を寄せつけないよう、ぜひ電気柵を活用してほしい」と話しています。