朱鞠内湖 クマに釣り人襲われ死亡1年 クマ現れた想定で訓練

幌加内町にある朱鞠内湖で釣り人がクマに襲われて亡くなった事故から14日で1年です。現地では町や警察、観光関係者などが犠牲者に黙とうをささげたあと、湖畔のキャンプ場にクマが現れたことを想定した対応訓練も行われました。

幌加内町にある朱鞠内湖で釣り人の男性がクマに襲われ亡くなった事故から1年となった14日、湖畔にある施設には町や警察、観光関係者などおよそ20人が集まり、犠牲者に黙とうをささげました。
このあと湖畔のキャンプ場ではクマが現れたことを想定した対応訓練が行われ、町が事故を受けて策定した対応方針をもとにそれぞれの機関が果たす役割を確認しました。
訓練ではドローン2機を使ってクマにふんした人の位置を上空から把握したあと、警察官やハンターが現場に向かうまでの手順を確認していました。
幌加内町の細川雅弘町長は「尊い命が失われた反省を踏まえて、この1年で対応方針を定め、関係機関との連携も強化してきた。豊かな自然を楽しむためにも施設の利用者の皆さんにはごみを残さないなどクマを引き寄せないための基本的なルールを徹底してほしい」と話していました。

【訓練参加のNPO代表は】
14日の訓練に参加したNPO法人の中野信之代表は「悲しい事故を風化させてはならないという使命感で対策をしてきた。対策は道半ばだが手応えは感じている」と話しています。
中野さんは、朱鞠内湖の湖畔でキャンプ場や渡し船を運営するNPO法人の代表として事故のあと安全対策に取り組み、14日現地で行われた対応訓練にも参加しました。
中野さんは幌加内町などの協力を得て▼キャンプ場を取り囲むようにクマの侵入を防ぐ電気柵を設置したり▼湖周辺に赤外線カメラおよそ50台を設置したりするなどの対策を進めてきました。
また、釣り人に対して▼単独での行動を原則として禁止し、▼クマよけのスプレーや発煙筒の携行を義務づけるなどの「朱鞠内湖ルール」も独自に策定しました。
中野さんは「あの悲しい事故を風化させてはならないという使命感で対策をしてきた。対策はまだ道半ばだが今はほとんどの釣り人がクマよけのスプレーを持参し、意識が高まっていると感じている」と話しました。
その上で、「一人ひとりがクマへの知識を深め、自分の身を守る行動を取れるよう、準備しておくことが最も大切だ。クマに対する対策や訓練はこれからも続けなければならない」と話していました。