【特集】人とヒグマ どうすみ分ける?

【特集】人とヒグマ どうすみ分ける?

札幌市内のヒグマがすむ森を追跡取材している「ヒグマカメラ」が4月24日、ヒグマの姿をとらえ、札幌もヒグマの活動期を迎えました。そのヒグマとのあつれきをどう減らしていくのか、今シーズンこれまでの動きを取材しました。

【ヒグマ活動期到来】
NHKは札幌市郊外のヒグマのすむ森に毎年、自動撮影カメラを取り付け追跡取材をしています。
現地から電波で送られてくる画像を特設サイト「ヒグマカメラ」でも紹介しています。
今シーズンは、雪がまだ1メートル以上残る2月5日にカメラをとりつけて、冬眠明けのタイミングを探っていました。
その結果、ヒグマが最初に写ったのは4月24日の午前1時。
今シーズンもヒグマたちが活動を始めていました。
【森に隣接した都市でどうすみわける】
ヒグマと人のあつれきを減らすため、札幌市は市街地と森の「すみ分け」を進めています。
そこには札幌市ならではの難しい事情があります。
住宅街が森の際まで広がっていて、そのままにしておくと、ヒグマが住宅地のすぐ裏に定着してしまう可能性があるんです。
【住宅街近くの森でヒグマにプレッシャーを】
札幌市は3月から4月にかけ、雪どけ前の時期のヒグマ対策、「春期管理捕獲制度」を実施してきました。
足跡をたどりやすい雪どけ前に山に入り、ヒグマを追います。
ヒグマに人間に追われる経験をさせて、人に警戒心を持たせる、という狙いがあります。
札幌市は前年まで郊外の国有林の一部を対象にしてきました。
ことしは、去年、出没が相次いだ西野地区の市街地に隣接する森をエリアに加えました。
札幌市の担当者は「たまたま西野の住宅街のすぐ裏が札幌市で管理している市民の森だったので、このような事業ができました」と話していました。
住宅街と接する森は、民有地が多く、権利関係も複雑で、対策がうちづらいという現状もあります。
【地域の人にも呼びかけヒグマフォーラム】
地域からヒグマ対策を考えようという新たな動きも春先にありました。
札幌南区の南沢地区にある東海大学は、2月下旬に地域フォーラム「となりのヒグマとどう向き合う」を開催しました。
東海大学では2019年に隣接する森に自動カメラをつけて調べたところヒグマが利用していることが確認されました。
去年9月には周辺で出没を繰り返したヒグマ1頭が駆除され、今後、ヒグマ対策をどう進めていけばいいのか、地域の人を招いて話し合いました。
学生の中からも、ヒグマが出にくくなる環境づくりを地域の人たちと進められないかと声があがっています。
札幌市内では、川沿いや公園で草を刈ってヒグマが利用しにくいようにする活動が広がり効果もあがっているので地域の今後の活動も注目です。