知床 自然体験型観光の安全管理体制を検討 協議会が最終報告

知床半島沖で観光船が沈没した事故を受けて、地元の斜里町に設置された自然体験型の観光の安全管理体制を検討する協議会が最終報告をまとめ、今後は新たに設置する事務局が地域ごとのリスク分けをするなどして利用客に周知していくことになりました。

斜里町では、観光船事故で低下した知床観光の信頼を取り戻そうと、地域の自然体験型観光のリスクを見直すとともに、安全管理体制を構築するための協議会を設置し、1年半あまりにわたって検討してきました。
その最終報告がまとまり、協議会は19日、会見を開いて公表しました。
それによりますと、これまで知床では観光のリスクに関する情報発信が不足していたとして、町や観光協会などによる事務局を新たに設置し、体験型観光を行う地域ごとに3段階のリスク分けをして、利用者に周知するとしています。
また事務局は、悪天候の時に体験型観光を実施するかどうかの参考となる基準についても今年度中に検討し、インターネットなどを通じて発信するということです。
このほか、ガイドや観光船など、体験型観光別に指定団体を設置し安全管理にかかる費用を事務局が支援するとともに、リスクなどについても情報共有することにしています。
協議会は、事務局をできるだけ早く発足させたいとしていますが、町内のガイドの多くが加盟する団体がこの取り組みに参画するかは不透明で、今後は実効性の確保が課題となります。
座長を務めた北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院の石黒侑介准教授は、「この取り組みは先進的なものになるので、事業者などの協力を得ながら実現を目指していきたい」と話していました。
斜里町の山内浩彰町長は「この取り組みは事故があった町として必然的に行うべきもので、観光の信頼回復に重きを置いて進めていきたい」と話していました。