学校へのエアコン設置進む 現場では負担感も

道内は15日、札幌市で観測史上最も早く夏日を観測するなど、気温が上がってきています。
去年の夏は道内各地で猛暑となり、熱中症警戒アラートもたびたび出されて、臨時休校する学校が相次ぎました。
道内の自治体は続々と学校にエアコンを導入する方針を明らかにしましたが、エアコンの設置状況はどうなっているのでしょうか。

【エアコンの設置状況は】
エアコンは、▽室外機の設置などが必要な本格的なものと、▽窓枠に設置できるような簡易的なものと、大きく2つにわけられ、多くの自治体が当面は簡易型エアコンでしのごうという考えです。
例えば、▼札幌市は、小中学校と高校、それに幼稚園の保健室に限って9割に本格的なエアコンの設置を完了しているものの、教室についてはことし6月末までに簡易型エアコンを設置することにしています。
▼旭川市も小中学校の保健室と多目的室に限ってことし6月末までに本格的なエアコンを設置するものの、教室については6月末までに簡易型エアコンを設置することにしています。
▼函館市も小中学校と幼稚園の教室に6月末までに簡易型エアコンを設置する予定ですが、本格的なエアコンについては保健室に限って今年度中に設置するほか、教室については再来年度から設置することにしています。

【学校現場では負担感も】
道はことしの夏までに道立のすべての高校と特別支援学校の教室に簡易型エアコンを設置する計画で、このうち札幌市中央区にある札幌南高校では、先月、北海道教育委員会から教室の窓枠に設置する簡易型のエアコン48台が届き、校内に保管しています。
札幌南高校は、授業に支障のない時間帯を選び、少しずつ設置を進めていて、18日時点で、1つの教室に設置が終わり、試験的に稼働させていました。
この高校では、本格的な暑さのシーズンが来るまでに1学年8クラス、あわせて24教室に2台ずつ設置することを目指しています。
ただ、エアコン2台の使用電力が教室の電力容量をこえる可能性があり、使用時にブレーカーが落ちないか確認する必要があるということです。
これについて道教委はふだんは電気を使っていない空き教室などから電源を取るよう指示していますが、札幌南高校の場合は空き教室がないということで、新たな電源をとるための工事を行う必要があります。
また道教委は簡易型のエアコンを取り付ける作業について、学校用務員を中心に教職員も含めた学校全体で対応してほしいとしています。
しかし、北海道の高等学校教職員組合連合会によりますと、これについて学校現場からは▼専門的な知識や技術を持たない事務員や教員が設置することにリスクはないのか、▼新学期の授業や生徒対応で多忙な中、エアコン設置の対応に追われて負担感が強まっているといった声が寄せられているということです。
北海道高等学校教職員組合連合会の道端剛樹書記長は「エアコンは設置まで道教委が責任を持ってくれるだろうと現場は思っていた。今回のことは教職員にも大きな負担になり、忙しくなるほどそのしわ寄せは子どもに来る。特に4月は生徒の様子や、授業について真剣に考えなければならない時期なので、エアコンの設置の仕方まで考えなければならないことが現場の不安となっている」と話しています。
これに対し、道教委の健康・体育課の国安隆課長は、「昨年はこれまでにない暑い夏だったことから、子どもたちの命と健康を守るために対策を進めることは欠かせないと考えている。簡易型エアコンの設置や電源確保の問題について、学校の相談や要望を踏まえて適宜対応していきたいと考えているので、ご協力をお願いしたい」と話しています。
自治体には学校現場を支援しながら、エアコン設置を進めることが求められています。