環境省 クマ類を“指定管理鳥獣”に 駆除対策など国が支援へ

ヒグマによる被害が相次ぐ中、環境省は16日省令を改正し、ヒグマなどのクマ類を「指定管理鳥獣」に指定したと発表しました。今後、道や市町村が行う駆除対策などで国の支援を受けられることになり、対策が進むかが注目されます。

道内では、ヒグマに関する通報件数が去年は4055件と前の年の2倍近くに上り、被害も相次ぎました。
こうした中、伊藤環境大臣は16日の閣議後の記者会見で「絶滅の恐れのある四国の個体群を除き、クマ類を指定管理鳥獣に指定した。クマ類の管理を強化し、被害防止を図って国民の安全安心を確保していく」と述べ、16日付けで省令を改正し、ヒグマなどのクマ類を指定管理鳥獣に追加したと明らかにしました。
これによって道や市町村がヒグマの対策を行う際、交付金の形で国から一定の支援が受けられるようになります。
国は、指定管理鳥獣となっているシカやイノシシの捕獲に対して財政支援を行っていますが、クマ類には、捕獲だけでなく人の生活圏での出没を抑制する対策や出没を想定した訓練への支援なども検討していて、ことし秋までには、自治体に支援を始められるよう調整を進めることにしています。
ヒグマなどのクマ類が指定管理鳥獣となったことについて、鈴木知事は、「クマ類への対策が大きく進展すると考えており、今後、地域の実情を踏まえた支援がなされるよう期待している。道としては、人とヒグマのあつれきの抑制に向け、国の支援を活用した対策を進めより実効性のあるヒグマ対策の充実・強化に取り組んでいく」とコメントしています。
【広尾町の担当者「ハンターの支援強化を」】
ヒグマなどのクマ類が指定管理鳥獣に追加されたことについて、対策に取り組む自治体からは「捕獲にあたるハンターの支援を強化してほしい」といった声があがりました。
日高山脈のふもとに位置する十勝の広尾町では、住宅から1キロ以内の地点にヒグマが出没するケースも出ていて、去年は31頭のヒグマを駆除しました。
町ではヒグマを駆除した場合、奨励金として1頭につき、国からの分も含めて2万8000円を支給していますが、指定管理鳥獣の追加をきっかけに捕獲実績の向上や人材確保の観点などから、さらなる支援の拡充を求めています。
広尾町農林課の矢作祐太主査は「ヒグマがいつ市街地に出てきてもおかしくない状況になっている。ヒグマの捕獲には危険が伴うので、ハンターに支払う奨励金への支援を強化し、ヒグマによる被害の抑制につながってほしい」と話していました。
【十勝の猟友会は「対策のメニュー増える」】
ヒグマなどのクマ類が指定管理鳥獣に追加されたことについて、十勝地方の猟友会でつくる「猟友十勝連絡協議会」の沖慶一郎相談役は、これまで、ヒグマが保護の対象だったために追い払いなどの対策が中心だった点に触れ、「今後は害獣として駆除していけるようになると思う。対策を講じるためのメニューが増えると思うので、ここからがヒグマ対策のスタート地点になると思う」と述べました。
またヒグマにハンターが発砲する際も、警察が許可を出すまで長い時間がかかっていたことについても、沖相談役は「今回の追加で、発砲の判断が速やかに行われることも期待したい」と述べました。
今回、クマ類が指定管理鳥獣に追加されたことで、ヒグマの捕獲が国の交付金の対象となることについては「ヒグマの捕獲は経費がかかるので、ハンターが交付金を受け取れるようにしてほしい」と話しました。