“文献調査”への応募 佐賀県玄海町の団体が町議会に請願書

原子力発電に伴って発生する高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の最終処分地の選定を巡り、玄海原子力発電所が立地する佐賀県玄海町の3つの団体が町議会に対して、第1段階の「文献調査」への応募を町に働きかけるよう求める請願書を出しました。

玄海町などによりますと、請願書を出したのは地元の旅館組合や飲食業組合、それに防災対策協議会で、3団体がそれぞれ15日、町議会に提出したということです。
高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」は、長期間強い放射線を出し続けることから、地下300メートルより深くに埋めて最終処分を行うことが法律で決まっています。
処分地の選定に向けた調査は3段階で行われることになっていて、請願書の中で各団体は町議会に対し、第1段階の「文献調査」への応募を町に働きかけるよう求めています。
町議会は今月中に特別委員会を開き、対応を議論することにしています。
玄海町には九州電力の玄海原発が立地し、4基ある原子炉のうち1号機と2号機が廃炉になり、3号機と4号機が再稼働しています。
請願書の提出について、脇山伸太郎町長は「重く受け止め、内容を確認するとともに議会での議論を見守りたい」とコメントしています。
処分地の選定を巡っては、北海道の2つの町と村を対象に全国で初めて行われた「文献調査」の結果、次の段階に進めるとした報告書案がことし2月にまとまりましたが、地元からは北海道以外への調査の拡大を求める声が上がっています。
こうした中、去年、長崎県対馬市の市議会が調査の受け入れを求める請願を採択しましたが、市長はこれを受け入れない意向を表明していました。
調査に応じた自治体には交付金が用意されていて、「文献調査」で最大20億円、次の「概要調査」では最大70億円が支払われます。
核のごみの最終処分や事前の調査を実施する主体のNUMO=原子力発電環境整備機構は、「自治体議会での請願審議をすべて把握しているわけではないが、原子力発電所の立地自治体で調査の応募を働きかける請願が審議されたことはNUMOとして知る範囲ではこれまでにない」としています。
そのうえで、「地層処分について地域の皆さまに関心をもっていただけることは大変ありがたい。今後も玄海町はじめ全国で地層処分の仕組みや日本の地質環境などについて理解を深めていただけるよう、対話活動に取り組みたい」とコメントしています。