さっぽろテレビ塔 11年ぶりに補修工事 ことし8月まで

札幌市のランドマークとして親しまれている「さっぽろテレビ塔」ではことし8月までさび止めなどの補修工事が行われています。

札幌市の大通公園の近くにある「さっぽろテレビ塔」はおよそ10年ごとに塗装の塗り直しなどを実施していて、今回は2013年以来、11年ぶりとなる補修工事が先月から行われています。
12日は雨のため工事は中断されていましたが、ふだんは腐食を防ぐためにさび止めなどの作業を進めていて、高さ147メートルの鉄塔は展望台の下から電光時計の上までおよそ30メートルにわたってネットで覆われています。
一方、高さ90メートルの位置にある展望台には覆いはかけられておらず、ほかの施設も含めて営業は通常どおり行われています。
「さっぽろテレビ塔」で広報を担当する長堀昭人さんは「ふだんと見え方が変わり申し訳なく思います。今後、何十年も楽しんでもらうための補修工事ととらえていただき、ある意味では10年に1度の景色としていまの姿を楽しんでほしいです」と話していました。
補習工事はことし8月末まで続く予定です。
【さっぽろテレビ塔とは】
「さっぽろテレビ塔」は数多くのタワーを手がけ「塔博士」と呼ばれた内藤多仲の設計で、68年前の1956年に着工しました。
テレビの電波を出す送信所として放送を支えた一方で、翌年の1957年には展望台などがオープンし、札幌を代表する観光施設となりました。
シンボルの1つとなっている電光時計は1961年に設置され、ランドマークとしての認知度もさらに高まりました。
1963年には初めて塗装などの塗り直しが行われ、鉄塔の色は当時の銀色からいまの姿に近い薄い朱色に変更され、展望台の色は薄い緑色になりました。
その後、塗装の塗り直しはおよそ10年に1度のペースで行われてきましたが、鉄塔は赤系、展望台は緑系という色の組み合わせは60年あまり変わっていません。
前回の2013年の補修工事の際には、市民や来場者にアンケート調査を実施し70%を超える人が鉄塔は赤色、展望台は緑色を選ぶほど、札幌市民の間ではシンボルカラーとして定着しています。

【補修中のテレビ塔を見て観光客や市民は】
旅行のため横浜市から夫婦で訪れた70代の女性は「毎年、札幌に来るたびにテレビ塔の前で写真を撮影しています。補修工事をしていることを知りませんでしたが維持する上で大切なことだと思います」と話していました。
また観光で訪れた40代の女性は「初めて見て札幌らしいと感じました。補修工事が終わったらまた見に来たいです」と話していました。
札幌市に住む80代の女性は「昔は今のような高い建物がなかったので遠くからでもよく見えました。子どもたちを連れてきたり、テレビ塔を見たいという知り合いと観光したりした思い出があります」と話していました。
また札幌市に住む80代の男性は「結婚後、妻と一緒にテレビ塔にのぼった思い出があります」と話していました。
【テレビ塔近くの店は】
「さっぽろテレビ塔」から200メートルほど離れた日本茶の専門店は、創業から90年あまり同じ場所で営業を続けてきました。
店内にはテレビ塔の着工が始まる3年前の1953年に撮影されたモノクロ写真が飾られています。
写真は店の専務取締役を務める玉木幸男さんの父親が撮影し、当時はいまのテレビ塔の近くに札幌市消防局の火の見やぐらがあったことがわかります。
写真から70年あまり経過した現在は周辺にビルが立ち店からテレビ塔を見ることはできませんが、玉木さんによりますとテレビ塔が完成した当時、周辺は問屋街で鉄塔がよく見えたという話を父親から聞かされたということです。
玉木さんは「最近はテレビ塔や二条市場を観光したお客さんたちが店に寄ってくれます。僕自身もバンジージャンプのイベントに挑戦するなど、テレビ塔はなくてはならない存在です。補修工事などを定期的に実施することで札幌のランドマークとしていつまでも存在してほしいです」と話していました。