2024年問題に対応 ヤマトHDが専用貨物機の運航開始

トラックドライバーの時間外労働に今月から上限規制が適用され輸送量の減少が懸念される「2024年問題」に対応しようと、宅配大手のヤマトホールディングスは、長距離輸送の新たな手段として新千歳空港と成田空港との間で自社専用の貨物機の運航を11日から始めました。

運航開始にあわせて新千歳空港で行われたセレモニーには、ヤマトホールディングスや貨物機の運航を担う日本航空のグループの関係者が出席しました。
この中でヤマトホールディングスの栗栖利蔵副社長は「2024年問題」について、「北海道から東京といった遠距離の輸送は航空機によって解消できると考えている。ほかの空港や自治体からも就航してほしいという話があるので、今後、増便していきたい」と述べました。
このあと成田空港からの貨物機が到着すると宅配便などが入ったコンテナの積み降ろし作業が行われ、関係者に見守られながら成田空港に向けて離陸しました。
この貨物機は10トントラックで5台から6台分の貨物を運ぶことができ、きょうは到着便・出発便ともにほぼ満載だったということです。
ヤマトホールディングスは、成田と新千歳や那覇などとをそれぞれ結ぶ便を1日9便運航する計画ですが、将来的には1日21便にまで増便することで貨物機を長距離輸送の新たな手段として活用したいとしています。

物流の「2024年問題」について、野村総合研究所は、このまま何も対策をとらなかった場合、どれほどの貨物が運べなくなる可能性があるか試算をまとめています。
それによりますと、トラックドライバーの減少に伴い、全道では▽来年には13%、▽2030年には27%の貨物が運べなくなると推計しています。
道内を地域別に見ますと、2030年には▽函館と北見では32%、▽釧路では31%、▽旭川では30%の貨物が運べなくなると推計していて、人口減少が進む地域ほど深刻な状況となる見通しだとしています。
野村総合研究所は、企業や業種の垣根を越えた「共同輸送」をさらに進める必要があるとしていて、広大な道内の物流網を維持していくためには、トラック輸送の効率をどこまで高められるかが課題となっています。
【運べなくなる可能性がある貨物の割合】
   2025年 2030年
全道  13%   27%
札幌  11%   24%
旭川  15%   30%
函館  16%   32%
室蘭  14%   28%
釧路  16%   31%
帯広  12%   25%
北見  16%   32%