4歳女児死亡 78歳被告に執行猶予付き有罪判決 釧路地裁

去年10月、釧路市の病院の駐車場で親子2人を乗用車ではね、このうち4歳の女の子を死亡させたなどとして過失運転致死傷の罪に問われた78歳の被告について、釧路地方裁判所は禁錮1年8か月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。

根室市の無職、熊谷勉被告(78)は去年10月、釧路市春湖台にある市立総合病院の駐車場でブレーキとアクセルを踏み間違えて親子2人をはね、4歳の女の子を死亡させたほか、母親にもけがをさせたとして、過失運転致死傷の罪に問われていました。
裁判で検察側は「運転能力が不十分だと感じていたのに、『移動に便利だ』などという身勝手な理由で運転を続けた」などとして、禁錮1年8か月を求刑したのに対し、弁護側は執行猶予付きの判決を求めていました。
10日の判決で釧路地方裁判所の井草健太裁判官は「基本的な注意義務を怠って車を衝突させ、4歳の幼い命が失われた結果は重大というほかなく、愛すべき大切な娘の命を目の前で失った母親が厳罰を望むのも十分に理解できる」と指摘しました。
一方で、「被告は反省の態度を示し所有する車をすべて処分して今後は運転しない旨を述べており、刑の執行を猶予するのが相当だ」などとして禁錮1年8か月、執行猶予3年の判決を言い渡しました。
【踏み間違え事故の半数以上が65歳以上の高齢者が運転】
道警によりますと、平成31年から去年までの5年間に起きたアクセルとブレーキの踏み間違いによる人身事故の件数は454件で、このうち、65歳以上の高齢者が運転していたケースは242件と全体の半数以上を占めています。
また、けがをした人は575人、死者は21人で、このうち亡くなった人のおよそ9割にあたる19人が、高齢ドライバーによる事故だったということです。
一方、道内では自主返納する高齢者の減少傾向が続いていて、去年は1万3966人にとどまり、おととしと比べて2300人あまり減っています。
【踏み間違え事故を防ぐ対策は】
道内の自治体では高齢ドライバーの踏み間違え事故を防止するためさまざまな対策に取り組んでいます。
このうち函館市では、2万円を上限として安全装置の搭載に補助金を支給することになりました。
警察によりますと、去年、函館方面本部管内で発生したアクセルとブレーキの踏み間違えによる事故は8件で、このうち6件は65歳以上の高齢者が運転していました。
函館市は、相次ぐ踏み間違え事故の発生や高齢者ドライバーが増加していることを受け、市内に住む65歳以上を対象に安全装置の搭載に補助金を支給することになりました。
対象となるのは国土交通省から性能認定を受けた踏み間違えを防止する後付けの安全装置で、購入と設置にかかる費用を2万円を上限として、半額支給するということです。
安全装置はアクセルペダルを強く踏み込んだ際に警告ブザーが鳴り、ブレーキが作動するなどの仕組みになっています。
支給を受ける場合、申請書や免許証のコピーのほか、安全装置の購入と設置時の領収証などを提出する必要があり、詳細は市のホームページに掲載されています。
函館市交通安全課は「高齢者は免許証を返納することが望ましいが、生活のために運転が必要な人もいると思うので、ぜひ活用してほしい」としています。
また、▼根室市では免許を返納した75歳以上の高齢者にハイヤーの回数券を配布し、年間1万4000円まで使えるようにしています。