タイヤ交換の時期以降 脱輪事故増加傾向 道警が注意呼びかけ

道路の雪どけが進む中、札幌市のカー用品店では、冬用タイヤから夏用タイヤへの交換の依頼が入り始めています。一方で例年、タイヤ交換が行われる時期以降に脱輪事故が増える傾向があり、道警はナットの締め忘れなどに気をつけるよう、呼びかけています。

札幌市西区のカー用品店では、今月初めごろから、冬用タイヤから夏用タイヤへの交換の依頼が入り始めています。
9日は予約が30件余り、飛び込みでの待ち時間は午後3時の時点で1時間となっていて、作業場には次々と車が運び込まれていました。
スタッフは、専用の工具を使いながら手際よくタイヤを交換し、1台あたり30分ほどで作業を終えていました。
店によりますと、作業のピークは今月下旬から来月の大型連休ごろを見込んでいて、多い時では1日あたりおよそ70台の車のタイヤを交換するということです。
また、タイヤの交換後は、走行による振動などでナットが緩むことがあるため、店では、およそ100キロ走ったあと、再びナットを締める「増し締め」を行って、脱輪を防ぐよう呼びかけています。
カー用品店の浅尾洸太ピット長は、「タイヤを交換すれば安心というわけではなくて、実際に道路を走行したあとの増し締めがとても大切です。安全で楽しいドライブのためにも、しっかりとしたメンテナンスを行ってほしい」と話していました。

【脱輪はタイヤ交換の時期以降い増える傾向】
脱輪をめぐっては、JAF=日本自動車連盟の札幌支部によりますと、脱輪を原因とする道内の出動依頼の件数は、去年1年間で234件あり、月別では11月が36件と最も多くなりました。
例年、夏用タイヤから冬用タイヤへの交換が行われる時期以降に脱輪が増える傾向が見られ、JAFは、冬用タイヤから夏用タイヤに交換する際にも脱輪に注意が必要だとしています。
道警によりますと、去年11月から先月までの間に、車両の脱輪事故が少なくとも55件確認されていて、このうち2件は人身事故だったということです。
脱輪事故の9割以上が左側のタイヤが外れるケースだったということで、▼ことし1月には札幌市厚別区と小樽市でいずれも軽乗用車の左側の前輪が外れる物損事故があったほか、▼2月には、千歳市で走行中の乗用車から左側の前輪が外れる物損事故がありました。

【国交省「脱輪事故の恐ろしさ知って」 実験映像をネットで公開】
脱輪事故の恐ろしさを知ってもらおうと、国土交通省では4年前、埼玉県のテストコースで行った実験の映像をインターネット上で公開しています。
実験では、時速60キロで走行するトラックを急停止させ、はずみで外れたタイヤがそこから30メートル離れたところにいる人形とベビーカーに、ぶつかったときの衝撃を調べました。
動画では、重さがおよそ90キロあるタイヤがぶつかった人形とベビーカーは、およそ4メートルほど吹っ飛び、体が折れるように曲がって倒れる様子が映っています。
人形が人間だった場合、胸や足の骨折や脊椎の損傷の大けがを負っていたとみられると国土交通省は分析しています。
警察やJAFはタイヤ交換後の「増し締め」を必ず行うよう呼びかけるとともに、自分でタイヤを交換する場合には「増し締め」を業者に依頼することも検討してほしいとしています。