【解説】感染力極めて強い“はしか”に注意 症状と対策は

道内では、新型コロナやインフルエンザの感染者は減少傾向にありますが、全国的に感染者が確認されている「はしか」には注意が必要です。
はしかの症状や対策などについて、飯嶋千尋記者が解説します。

Q:はしかに感染するとどんな症状がでるのか?
A:はしかはウイルス性の感染症で、患者のせきやくしゃみにウイルスが含まれていて、例えば飛行機で同席しただけでほぼ確実に感染するといわれています。
症状は、発熱は2日ほどでいったん下がったあと再び上がるのが特徴で、40度近くまで上がり、発熱は1週間ほど続くということです。
また、発疹は症状が出始めてから数日たたないと出ないため、最初のうちは、はしかと判断しにくいこともあります。
感染による合併症として、肺炎や脳炎が引き起こされ重症化するケースもあります。
道内ではまだ感染者が確認されていませんが、全国では先月27日までに少なくとも21人が感染したと報告されています。

Q:感染力はほかの感染症と比べると強いと聞くが?
A:感染対策がとられていない場合、患者1人から何人に感染を広げるかを示す「基本再生産数」は、インフルエンザの場合「1〜2人」、新型コロナの場合、「2〜3人」に対し、はしかは「12〜18人」と、感染力は極めて強いとされています。

Q:対策はどうすればいいのか?
A:はしかの特効薬はなく、症状に応じた治療をするしかないため、専門家はワクチンなどで感染を防ぐことが重要だとしています。
先日、札幌市清田区にある小児科に取材しに行きましたが、小学校に入学する直前の子どもたちが、はしかのワクチンの接種に訪れていました。
ワクチンを接種した6歳の子どもの保護者は、「怖いです。こちらではやっていると聞かないですが、これからどんどんたくさんの人と生活していく上で、早めに打てて良かったです」と話していました。
はしかと風疹を予防する「MRワクチン」の公費接種は、1回目は2歳の誕生日の前日まで、2回目は小学校に入学する前の3月末までです。
ワクチンを2回接種することで、99%以上の人が免疫を獲得できるといわれています。
清田小児科医院の三戸和昭院長は、「はしかには、インフルエンザのような抗ウイルス剤というものがないので、なるべく子どもたちには、忘れずに接種していただきたいと思います」と話していました。

Q:子どもたちは定期接種ではしかを予防する仕組みになっている。みんながワクチンを打っているのか?
A:接種状況を詳しくみてみると、▼1回も接種していないのは、ワクチンの接種が任意だった、昭和47年9月30日までに生まれた51歳以上の人たち、▼1回の定期接種だったのは、昭和47年10月1日から平成12年4月1日までに生まれた24歳から51歳までの人たちで、この世代の人たちは免疫が十分ではない可能性があるということです。
その後、平成18年に免疫を確実につけるために定期接種は2回に変更となっていて、平成12年4月2日以降に生まれて2回接種した人は、免疫が十分だといえます。

Q:接種していない人や、1回しか接種歴のない人はどうすればいいのか?すぐにでも接種した方がいいのか?
A:札幌市保健所の前木孝洋感染症担当部長は、定期接種が始まる前の世代は幼少期に感染していることが多く、ワクチンを接種しなくても抗体が十分あるケースも多いことから、感染した記憶が無い、もしくは、2回接種したかどうか明らかでない場合は、抗体検査で免疫の状態を確認し、抗体が十分でない場合は、必要に応じてワクチンの接種を検討してほしいとしています。
また、妊婦がはしかに感染すると合併症のリスクが高いとされていて、感染した場合、流産や早産の可能性もあります。
妊娠を希望する人は、あらかじめ接種を受けることも重要だと話していました。