北海道新幹線函館駅乗り入れ調査結果を道などに説明 函館市長

北海道新幹線のJR函館駅への乗り入れについて技術的に可能だとする調査結果がまとまったことを受け、函館市の大泉潤市長は、道とJR北海道を訪れ、調査結果の内容を説明しました。

函館市は、先月、北海道新幹線のJR函館駅への乗り入れについて調査結果をまとめ、▼レールを1本増やすことで新幹線の乗り入れが技術的に可能で、▼「フル規格」の新幹線の整備費が160億円台、▼経済波及効果も年間で最大およそ140億円が見込まれるとしています。
これを受けて大泉市長は、3日、道庁で北海道新幹線を担当する浦本元人副知事と面会し、市長によりますと、南北海道の交通全体に関わるため、函館市の周辺の自治体にも説明してほしいと要望されたということです。
このあと、大泉市長はJR北海道を訪れ、今井政人副社長と面会しました。
市長によりますと、JR側からは調査結果に含まれていない新幹線の車両費の負担などについて、懸念が示されたということです。
乗り入れについて、JR北海道の綿貫泰之社長は1日の記者会見で、「北海道新幹線の函館乗り入れは難しいと、いったん整理されている」という立場を示しています。
面会のあと大泉市長は記者団に対して、「今回は協議が目的ではなく、調査への協力のお礼と調査結果の報告が主眼だ。頂いた疑問や懸念について今後お答えしていきたい」と述べました。
函館市は、今月中旬にも開かれる市議会の委員会での議論を踏まえながら、道やJRなどへ説明を続けていくことにしています。

【函館駅乗り入れに関する調査結果をくわしく】
北海道新幹線のJR函館駅への乗り入れをめぐり、先月末、函館市の大泉潤市長は整備費などについて、コンサルタント業者に委託した調査の結果を公表しました。
今回公表された調査結果では、函館駅と新函館北斗駅の間のおよそ18キロにレールを1本増やすことで、新幹線の乗り入れが技術的に可能だと結論づけています。
調査は、現時点で2030年度末を目指している北海道新幹線の札幌延伸と同時に函館駅への乗り入れを目指すことを前提としていて、設計から開業までは5年程度と想定しています。
車両は、通常の「フル規格」かより小さい「ミニ新幹線」、またはこの両方で、東京駅や札幌駅に向けて▼すべての車両を直通で運行する方法と▼新函館北斗駅で一部の車両を切り離したり連結したりして運行する方法など6つのケースが示されています。
このうち整備費が最も高くなるのは、「フル規格」で▼函館と札幌間に加え、▼函館と東京間も直通で運行する場合で、費用は169億円と想定されています。
一方、整備費が最も安くなるのは、▼函館と札幌間を「ミニ新幹線」で運行し、▼函館と東京間では函館と新函館北斗の間を「ミニ新幹線」で運行するケースで、157億円と想定されています。
このほか、調査結果では、北海道新幹線の函館駅への乗り入れによって函館市を訪れる人が1日あたり最大800人程度増え、経済波及効果も年間で114億円から最大で141億円が見込まれるということです。
一方で、調査結果では、設計から開業まで5年程度とする工程について、整備に必要となる要員を確保できることが前提だとしています。
また、今回試算された整備費には▼新幹線の車両費が含まれていないほか、▼運行を管理するためのシステム改修にかかる費用を36億円としているものの、札幌延伸と同時に整備ができない場合、「費用が数倍となることは避けられない」などとしていて、試算よりコストがかさむ可能性があるとしています。