JR北海道 中期経営計画発表 値上げなどで来年度黒字化を

厳しい経営が続くJR北海道は今年度から3年間の新しい中期経営計画を発表しました。運賃の値上げやコスト削減などにより、グループ全体の最終的な損益を来年度に黒字化することを目指すとしています。

発表によりますと、JR北海道は燃料費や電気料金の高騰に加えて人材確保に向けた資金が必要なためなどとして、来年4月から平均でおよそ8%の運賃の値上げを国に申請するとしています。
値上げが認可されれば、消費税率の引き上げにあわせて平均11.1%の値上げを行った2019年10月以来で、年間でおよそ37億円の増収が見込まれるということです。
また、インバウンドなど観光需要の取り込みを強化するため、道内を周遊する「赤い星」と「青い星」という2つの観光列車を新たに運行させるとしています。
計画の最終年度にあたる2026年度の鉄道事業での収入は、新型コロナの感染拡大前の2018年度を5%上回る751億円を見込んでいます。
その上で、グループ全体の最終的な損益については、今年度は80億円の赤字を見込む一方、ワンマン列車の増加など業務の見直しによってコスト削減を行うことなどで、来年度は13億円の黒字、2026年度は15億円の黒字をそれぞれ目指すとしています。
また、「単独では維持することが困難」とする8つの区間について、先月、国から改めて出された「監督命令」に基づいて2026年度末までに区間ごとに事業の抜本的な改善策を確実に取りまとめ、国や道の支援を活用しながら徹底的に議論を重ねるとしています。
JR北海道の綿貫泰之社長は記者会見で「コスト削減や営業政策などトータルで黒字化を目指していく」と述べました。
道内の鉄道の利用者数は、コロナ禍前までは戻らないと想定されているほか、拡大を図る不動産やホテル事業でも資材費や建設費が高い状態が続くなど厳しい経営環境が続いていて、目標とする黒字化をいかに実現させるかが課題となっています。
【JR 将来的な事業構想を発表】
JR北海道は中期経営計画にあわせて、現時点で2030年度末を目指している北海道新幹線の札幌延伸のあとの将来的な事業構想を発表しました。
このなかで、札幌と旭川の間の所要時間を現在より25分短い最速で60分に、札幌と新千歳空港の間を現在より8分短い最速で25分にそれぞれ短縮するための課題を検証するとしています。
また、北海道新幹線についても最高速度を現在、想定している時速320キロから時速360キロにまで引き上げることや水素を燃料とした車両を導入することなどを検討するなどとしています。