“南スーダンPKO派遣は違憲”訴訟 2審も原告の訴え退ける

自衛官の息子をもつ母親が南スーダンで行われている国連のPKOに自衛隊を派遣するのは憲法に違反していると訴えた裁判で、2審の札幌高等裁判所は1審と同じく原告の訴えを退ける判決を言い渡しました。

陸上自衛官の息子をもつ千歳市の60代の女性は、南スーダンで行われている国連のPKO=平和維持活動に自衛隊を派遣するのは平和に暮らす権利を侵害し憲法に違反しているとして、国に対し派遣の差し止めと慰謝料の支払いを求める訴えを起こしました。
2年前の1審で札幌地方裁判所は憲法判断を示さずに訴えを退け、原告側が控訴していました。
22日の2審の判決で札幌高等裁判所の佐久間健吉裁判長は「家族として強い不安を感じたとしても、法的に保護される利益が侵害されたとはいえない」と指摘しました。
そのうえで「原告の息子は南スーダンに派遣されておらず生命に具体的な危険も及んでいない。権利や利益が侵害されたとはいえず、請求には理由がない」などとして訴えを退けました。
一方で、自衛隊の派遣が憲法に違反しているかどうかの判断は示されませんでした。
判決をうけて、防衛省は「国の主張が認められたものと受け止めています」というコメントを出しました。