海保の機動救難士 最終試験の“100キロ行軍”に臨む 釧路

ヘリで救助にあたる「機動救難士」として海上保安庁の釧路航空基地に去年配属され現場への出動を目指し訓練を重ねてきた隊員が、21日から「100キロ行軍」と呼ばれる最終試験に臨んでいます。

海難事故の際にヘリで現場に駆けつけて救助にあたる「機動救難士」は特別な訓練を行って認められれば現場に出動できることになっていて、「100キロ行軍」はその最終試験です。
100キロの距離を24時間以内に走り切ることが合格の条件になっています。
21日からの最終試験に臨んでいるのは、釧路航空基地の倉幸永隊員(29)で、去年4月に釧路に新たに配置された機動救難士の1人で、およそ1年の間訓練を積んできました。
倉隊員は「要救助者の親身になって救助できる隊員になりたい。そのためにしっかり気を引き締めて走りたい」と意気込みを話しました。
そして、中村至宏基地長から「みんなの期待にこたえられるよう訓練に臨んでほしい」と激励を受けたあと走って基地から出発していきました。
倉隊員は釧路市内や隣の白糠町の海岸沿いを通る100キロのコースを走り抜け、22日午後1時までに基地へ戻ることになっています。
合格すれば来週にも一人前の隊員が身につけられる「オレンジ服」が与えられ、機動救難士として現場で活躍することになります。
【機動救難士とは】
海上保安庁の機動救難士とは海難事故が起きた際にヘリコプターから降下して迅速に救助することを専門にする隊員です。
釧路航空基地ではおととし4月の知床観光船事故をきっかけに去年4月機動救難士が新たに配置され、現在は9人体制となっています。
知床のほか根室や紋別などの道内の広い範囲に1時間以内に到達して遭難者を救助することが期待されています。
基地に所属する9人のうち倉幸永隊員(29)は去年、機動救難士となったばかりで現在、現場に出るため訓練を積んでいるところです。
これまで1年間にわたって、ヘリコプターからロープを使って海面に降下したりトラブルが起きた想定で身につけた空気ボンベなどの機材を1つずつ外しながら泳ぎ続けたりするなど、きびしい訓練を積んできました。
21日から行われている「100キロ行軍」は一連の訓練の最終試験にあたり、500ミリリットルの水が入るペットボトルと食塩だけをもって100キロの距離を24時間以内に走り切ることを目指します。
過去には時間内に走りきれずリタイアする隊員もいたということです。
この試験に合格できれば、一人前の隊員の証、「オレンジ服」があたえられ、現場で活躍することになります。