21日で函館大火から90年 街歩きで語り継ぐ

函館市で2100人余りが命を落とした「函館大火」から21日で90年になります。大火の歴史を後世に伝えようと語り部の活動を行う男性が街歩きを企画し、大勢の市民などが参加しました。

昭和9年に発生した函館大火は、住宅から出た火が強風にあおられて燃え広がり、街のおよそ3分の1が焼け、2166人が犠牲になりました。
大火から90年になるのに合わせ語り部の中尾仁彦さん(81)が悲惨な歴史を語り継ごうと街歩きを企画し、およそ90人が参加しました。
長年、文献などを参考に函館大火を調べてきた中尾さんは大火にまつわるおよそ20か所を解説しながら歩いてまわりました。
このうち出火元とされる場所では、くぼんだ土地に強風が吹き荒れ、火が燃え広がったことなどを説明しました。
また、◇大火の教訓から地下にあった消火栓が雪の時期でも使いやすいように地上に突き出た形の「黄色い消火栓」に変わったことや◇公園や坂では当時、火の手を逃れて大勢の市民が押し寄せたことなどを紹介していました。
参加した60代の男性は「新たな話を知ることもできた。子や孫たちにも大火の歴史を語りついでいきたい」と話していました。
主催した中尾さんは「現場に立つことで、自分の感性を研ぎ澄ます機会にもなったと思う。記録や記憶は次第に薄らいでいくので地道に災害の教訓を語りついでいきたい」と話していました。