札幌市 雪どけ前にクマの“春期管理捕獲”を実施

ヒグマによる被害や目撃が相次いでいることから、札幌市は市街地への出没を減らそうと雪どけを迎える前のこの時期に冬眠中のクマなどを駆除する「春期管理捕獲」を実施しています。

15日、札幌市南区にある山のふもとには委託を受けた地元のハンターや市の担当者などおよそ10人が集まりました。
札幌市では山に雪が残りヒグマを見つけやすいこの時期に冬眠中のクマや目を覚ましたばかりの親子グマを駆除する「春期管理捕獲」を去年から実施しています。
人に危害を及ぼさないよう市街地への出没を減らすとともに若手ハンターの育成にもつなげようという取り組みで、ハンターたちは地図を見て登山ルートなどを確認したあと、猟銃を携えて山に入っていきました。
道猟友会札幌支部防除隊の玉木康雄隊長は「去年はどんぐりなどの食べ物が少なかったので十分に栄養を蓄えていないクマもいると思う。眠りが浅いと冬眠中でも起きてくる可能性があり、駆除も視野に入れながら足跡などの調査を行いたい」と話していました。
15日はクマの足跡を探して活動状況や個体の大きさなどを確認する予定でしたが、足跡などは見つからなかったということです。
札幌市の「春期管理捕獲」は4月下旬ごろまで実施される予定です。

【専門家は“目撃増えるおそれ” 注意呼びかけ】
クマ対策に取り組む札幌市の担当者は、このところの気温の上昇で今月下旬ごろからクマが出没し、春先にかけて目撃が増えるおそれがあるとして、注意を呼びかけています。
札幌市環境局環境共生担当課の坂田一人課長は、「きょうも気温が上昇するなどすでに雪どけが進んでいて、3月下旬ごろから本格的に出没が確認される可能性がある」と指摘しています。
さらに、「去年の秋はどんぐりが不作で、クマが市街地に近い山のすそで多く採れるくるみを食べに来たため目撃の多さにつながったが、ことしの春先にも同じ理由で目撃が増える恐れがあり、注意が必要だ」と話しています。
こうした中、市は、「ヒグマ対策重点エリア」に定めた地域で、▽電気柵の設置や▽ハンターに協力してもらってクマを追い払うといった対策などを新たに検討しているということです。
坂田課長は「市民の皆さんには、クマの餌となる実がなる木などをしっかりと管理し、市が発信する出没状況などを確認して、見かけた場合は通報してほしい」と注意を呼びかけています。