【同性婚訴訟】札幌高裁 2審判決のポイント

【同性婚訴訟】札幌高裁 2審判決のポイント

各地で起こされた同性婚訴訟で3年前、初めて違憲判断が示された札幌の訴訟。2審の札幌高等裁判所は、異性と同様に同性どうしのカップルも尊重されるべきだとするさらに踏み込んだ考え方を示しました。
判決のポイントです。

【婚姻の自由保障した憲法に違反すると初判断】。
最大の特徴は婚姻の自由を保障した憲法24条に違反すると初めて認めたことです。
憲法24条1項は「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」として婚姻の自由を保障しています。
これについて札幌高裁はまず、法律の文言上は男性と女性の間の婚姻について定めていて、制定当時は同性婚は想定されていなかったと述べました。
しかし、社会の変化に伴って改めて解釈することもできるとして「人と人との間の自由な結びつきとしての婚姻を定める趣旨も含む。異性間のみならず同性間の婚姻についても同じ程度に保障していると考えることが相当だ」という考え方を示しました。
その上で、結婚ができないことで同性カップルは▼社会生活上の制度の保障を受けられず、▼アイデンティティーの喪失など、個人の尊厳が損なわれる事態になってると指摘。
さらに同性婚を認めても「不利益や弊害の発生はうかがえない」として、いまの法律の規定は憲法24条に違反するとしました。

【法の下の平等も「違憲」】。
また、法の下の平等を定めた憲法14条1項についても、「憲法に違反する」と判断しました。
これは1審と同じ判断です。
異性間では認められている結婚が同性間では認められないことについて、「合理的な根拠を欠く差別的な扱いだ」と指摘しました。

【「喫緊の課題として議論・対応を望む」】。
判決は規定が憲法に違反するとした一方で、「国会が正当な理由なく長期にわたって立法措置を怠ったとはいえない」として、賠償については訴えを退けました。
導かれた結論は1審と同じでしたが、判決は最後に同性カップルのために議論を加速すべきだとする強いメッセージを打ち出しています。
同性婚をめぐる現在の状況について「対象が少数者のため、簡単に多数意見を形成できないという事情もあったと思う。それでも国会や司法などさまざまな場面で議論が続けられ、違憲性を指摘する意見があり、国民の多くも同性婚を容認している。こうした社会の変化を受け止めることも重要だ」と指摘しました。
その上で「同性間の婚姻を定めることは国民に意見や評価の統一を求めることを意味しない。根源的には個人の尊厳に関わる事柄だ」と強調し、「喫緊の課題として早急に真摯な議論と対応することが望まれる」と結んでいます。