阿寒湖のマリモ 温暖化影響の科学的対策 大規模実証研究へ

国の特別天然記念物「阿寒湖のマリモ」について、夏の高水温でやせるなどの影響が指摘される中、釧路市は科学的な対策に向けた大規模な実証研究を始める方針を固めました。

阿寒湖のマリモを巡っては、地球温暖化の影響で、湖の水温が上昇した結果、やせたとみられることが指摘されるなど、長期的な生育環境の悪化が懸念されています。
こうした中、マリモの保全にあたる釧路市は、対策を科学的に行うための大規模な実証研究を来月から4年かけて進める方針を固めました。
具体的には、▽マリモが多く生息する湾の105地点で水温を測るなど、湖の環境を詳細に把握したり、▽マリモの健康状態を測る指標を策定したりしたうえで、▽対策のひとつとして、湖に流れ込む水温10度ほどの川の水が活用できないか検証するということです。
川の水をマリモに届きやすくした場合に健康状態の改善が見られれば、川の流れを変えたり、流れを妨げる水草の刈り取りなどの対策につなげたいとしています。
釧路市教育委員会マリモ研究室の尾山洋一次長は「寒冷地の生き物への温暖化影響が現れていることをマリモを通して知ってほしい。また、適応策として例えば川の水を活用できれば、新しい事例になるのではないか期待している」と話しています。