道内のサウナ最新事情 広がるサウナによる地域活性化の動き

3月7日は、語呂合わせで「サウナの日」です。サウナをいかして地域を活性化させようという動きが道内に広がっていて、十勝地方では、サウナによる経済波及効果が年間11億円にのぼるという推計が出されました。
道内のサウナの最新事情を取材しました。

【札幌市のレジャー施設ではイベント開催】
札幌市東区にあるレジャー施設では、プールサイドにサウナを併設していて、男女いっしょに水着で入ってサウナを楽しむことができます。
施設では、サウナの中でタオルを使って熱風を送る「アウフグース」を、通常は1日に3回行っていますが、7日はサウナの日に合わせて、7回に回数を増やしました。
サウナには常連客や愛好家などおよそ40人が集まり、音楽に合わせて照明を変化させたり、タオルをあおぐ強さを変えたりしながら「アウフグース」が行われる中、気持ちよさそうに汗を流していました。
そして、サウナから出たあと休憩スペースでくつろぎ、気持ちよさそうにととのっていました。
参加した札幌市の30代の女性は「最高の時間でした。気持ちよくととのってまた仕事が頑張れそうです」と話していました。
また石狩市の70代の男性は「サウナが好きなのでよく来ています。音楽と風が気持ちよかったです」と話していました。
イベントを主催したレジャー施設「シャトレーゼ ガトーキングダム サッポロ」の柴田享さんは「仕事のことや日常を忘れてサウナで汗を流してととのってもらえれば」と話していました。
【北広島市 サウナで地域振興】
北広島市では、市内の温浴施設でサウナに入ったあとに、「サウナ飯」として地元食材を使ったメニューを食べてもらおうと、スタンプラリーが開催されています。
このスタンプラリーは、北広島市が、サウナ人気をいかして地域の魅力や食材のよさを知ってもらおうと、先月から行っています。
市内5か所の温浴施設では、サウナに入ったあとに食べる「サウナ飯」として、地元で生産されたり加工されたりした食材を使ったメニューを用意しています。
このうち、北広島市虹ヶ丘にある日帰り温泉施設では、市内で加工された豚肉を使った定食を提供しています。
食事をした後にスマートフォンでQRコードを読み込むとスタンプを獲得でき、5か所すべてでスタンプを集めると、抽せんで入浴券や北広島市の食材が当たるということです。
スタンプラリーの仕掛け人で自身も大のサウナ好きだという北広島市地域おこし協力隊の円谷翼さんは「北広島市を周遊するきっかけになっていると反響があります。サウナのあとに北広島市の食材を食べて、満喫してもらいたい」と話していました。
このスタンプラリーは今月20日まで行われています。
【十勝地方 サウナ関連の経済波及効果は11億円余】
十勝地方でも、サウナが温泉施設に併設されたり、湖などの自然環境を活用して各地に設けられたりして、多くの人でにぎわっています。
こうした中、十勝地方のサウナ施設でつくる「十勝サウナ協議会」はサウナの地域経済への影響を調べるため、初めてアンケート調査を行い、11の施設のうち、10施設から回答を得ました。
それによりますと去年1年間で▼サウナを目的に施設を訪れた人の数は日帰り入浴客と宿泊客を合わせて17万3000人余りに上ったほか、▼これらの人たちによる飲食やサウナの関連グッズといった買い物などの年間消費額は7億円余りになると推計しています。
また、こうした動きを受けて十勝地方の産業にもたらされた経済波及効果は、去年1年間で11億2600万円余りに上るとしていて、新たなまちづくりの起爆剤としての期待が高まっています。
【道内各地に広がるサウナでの地域振興の動き 専門家は】
サウナを活用して地域振興につなげようという動きが、道内各地で広がりを見せています。
このうち、札幌市の定山渓温泉では、新型コロナの影響で減った宿泊客の増加につなげようと、観光協会が中心となって、温泉街にある施設のサウナを紹介するホームページを制作しています。
このほかにも、サウナを新たな観光資源のひとつにしようと、サウナを活用したイベントに補助金を出したり、サウナ体験を盛り込んだ観光ツアーの実証実験を行ったりしている自治体もあります。
こうした地域活性化にサウナを活用することについて、十勝地方の地域経済への効果を分析した、北海道二十一世紀総合研究所の河原岳郎調査研究部長は「地域にもともとあったサウナを活用することで、大きな経済波及効果が生まれているが、サウナだけではなく、地域のさまざまな業種と連携することでさらに付加価値をつけていくことが今後求められると思う。アクティビティーや、休暇を楽しみながら仕事をするワーケーションなども盛り込んでいくことで、体験型観光としてサウナの愛好家だけでなくいろいろな人たちを取り込んでいくことができると思う」と話しています。