ニセコ町 環境に配慮した新しい街区で視察会 集合住宅を公開

後志のニセコ町で整備が進められている環境に配慮した新しい街区の視察会が開かれ、1棟目となる集合住宅が公開されました。

ニセコ町などが出資し官民連携でまちづくりを行う会社「ニセコまち」は、町内の市街地に隣接する9ヘクタールの敷地に今後10年程度かけて最大で450人程度が暮らす環境に配慮した新しい街区「ニセコミライ」の整備を進めています。
7日開かれた視察会では、街区の中に計画されている4つの工区のうち、第1工区にある1棟目の集合住宅が公開されました。
この集合住宅は木造2階建てでオール電化の8戸が入る建物で、建物全体の断熱性を高めることにより、冬場でもエアコン1台で室温を20度以上に保つことができるということです。
また、駐車場に設置されている太陽光パネルで発電した電気をAIによる自動制御で効率よく利用するシステムも導入されていて、一般的な住宅に比べて二酸化炭素の年間排出量を70%削減できるとしています。
この集合住宅は1戸あたりおよそ4900万円から5800万円ですでに完売し、今月から入居が始まっているということです。
まちづくりを行う会社「ニセコまち」の早田宏徳取締役は、「1棟目が建ったことは感無量です。ニセコ町内の人はもちろん東京の人などからの期待にも応えられるよう努力していきたい」と話していました。
【ニセコミライとは】
「ニセコミライ」は、ニセコ町や愛知県の住宅メーカー、地元の建設会社などが出資し官民連携でまちづくりを行う会社「ニセコまち」が整備を進める環境配慮型の街区です。
2018年に持続可能な開発目標、「SDGs」の達成に向けて、先進的な取り組みを行う自治体としてニセコ町が国から選定され、その中心的な事業として整備が進められています。
北海道新幹線の札幌延伸で隣接する倶知安町に新幹線の駅が新設され、インバウンドの増加が期待される中、ニセコ町としては海外の富裕層などの関心が高い“脱炭素”に向けた取り組みをアピールすることで、同じニセコエリアでコンドミニアムの建設などリゾート開発が盛んな倶知安町との差別化を図るねらいがあります。
また、外国人観光客が増加するなかで町外から働きに来る人の住宅不足を解消するねらいもあります。
「ニセコミライ」に建設される住宅は断熱性を高めることで消費電力を極力抑える設計になっていて、外壁には、新聞紙を使った素材と玄武岩由来の素材を活用した厚さ10センチほどの分厚い断熱材が使用されています。
また、窓は熱を通しにくい特殊なガラスが3重に設置され、窓枠にも断熱材が詰め込まれています。
「ニセコまち」の計画では、今後10年程度かけて町内の市街地に隣接する9ヘクタールの敷地に二酸化炭素の排出量を抑えた分譲や賃貸の住宅を最大で244戸建設し、最大で450人程度が暮らす新しい街区を作るとしています。
街区は4つの工区に分けて建設が進められる予定で、▼第1工区では、今回公開された8戸が入る集合住宅のほかに、分譲型13戸と賃貸型10戸の建設が今後始まる予定です。
さらに、▼シェアハウスやアトリエを含む第2工区、▼広場なども含む第3工区、▼緑豊かなエリアに広めの分譲マンションを建設する第4工区を、それぞれ整備する計画です。
「ニセコまち」の高橋守社長は「住宅の単価が上がるといった批判もあるが、ニセコの自然を残していくために環境への配慮は誰かがリードしなければならない問題だ。ニセコ町にある自然を残し、共有しながら皆のよりどころとなるような場所をつくっていきたい」と話していました。