旭川生まれの井上靖 “記者から作家へ”焦点あてた展示会

「敦煌」などの作品で知られる、旭川生まれの作家、井上靖が、新聞記者の時代から作家としての地位を確立するまでの時期に書いた作品や日記を展示する催しが旭川市で開かれています。

明治40年(1907年)に旭川で生まれた井上靖は毎日新聞社で記者として働きながら小説を執筆し、43歳のとき(昭和25年・1950年)「闘牛」で芥川賞を受賞しました。
旭川市の「井上靖記念館」は井上みずからが「生涯で最も忙しい、最も緊張した年」と振り返る、新聞社の退職から作家としての地位を確立する数年間に焦点をあて、この時期に書いた作品などを中心に34点を紹介する企画展を開いています。
会場には芥川賞を受賞した「闘牛」の直筆の原稿が展示され、本格的な作家デビューへの情熱を持って書き上げた井上の筆跡を見ることができます。
また、初めて展示される、新聞記者時代の「終戦前後日記」には平日、朝と夜に2時間ずつ執筆にあてることを記していて、創作活動への意欲がうかがえます。
「井上靖記念館」の上田郁子さんは「記念館がことし開館30周年を迎える節目に、改めて井上の作家としての原点を見つめようと企画しました。作家になると決意した時期の情熱を感じてほしいです」と話していました。
この企画展は旭川市の「井上靖記念館」で6月2日まで開かれています。