事故で肺の病気に 旭川医科大学に1億5000万円の賠償命令

旭川市の旭川医科大学で15年前、指導教官の指示で薬品を廃棄した際に有毒ガスを吸い重い肺の病気になったとして、当時の医学生が損害賠償を求めた裁判で、裁判所は「安全確保に必要な措置を怠った」などとして大学に1億5000万円余りの支払いを命じました。

原告で医師の水元克俊さん(44)は、旭川医科大学医学部の学生だった2009年、指導教官の指示で薬品を廃棄しようとした際に廃棄用の容器が爆発する事故にあいました。
水元さんは、発生した有毒ガスを吸った結果、日常生活に支障が出るほどの重い肺の病気になったとして当時の指導教官と大学におよそ3億円の損害賠償を求めていました。
1日の判決で旭川地方裁判所の上村善一郎裁判長は、事故の数週間後からせきの症状が出て病状が進行したことなどから、有毒ガスの吸引が病気の原因になったと認定しました。
そのうえで、指導教官らが安全確保に必要な措置を怠っていたなどとして、大学に対し1億5000万円余りの賠償を命じました。
一方で、指導教官については、公務員に当たるため職務についての民事上の賠償責任は負わないとして、原告の訴えを退けました。
旭川医科大学は「判決内容を検討し、対応を考える」とコメントしています。