ハーフライフル 規制強化の改正案閣議決定 道内事情に配慮も

政府はハーフライフル銃の規制強化などを盛り込んだ銃刀法の改正案を閣議決定しました。猟銃を所持する際に10年間はハーフライフル銃を許可しないとした一方で、エゾシカやヒグマの駆除に使われている道内の事情に配慮し、許可の特例を設けて若手ハンターなどの所持を認める方針です。

長野県で去年5月、警察官2人を含む4人が殺害された事件でハーフライフル銃が使われたことなどを受けて、政府は1日、銃の規制強化などを盛り込んだ銃刀法の改正案を閣議決定しました。
それによりますと、現在は狩猟免許の取得後すぐに所持することができるハーフライフル銃について、許可の基準をライフル銃と同じ、『猟銃を10年以上継続して所持している人』などに限定するとしています。
一方、ハーフライフル銃は道内ではエゾシカやヒグマの駆除で使われることが多く、若手ハンターのほとんどが使用しているという事情に配慮し、警察庁は許可の特例を設けて対応することにしています。
具体的には駆除対策にあたる若手ハンターなどを対象に、市町村の推薦と都道府県の確認がある場合や都道府県が駆除を必要とする特定の区域で活動する場合にはハーフライフル銃の所持を認める方針です。
松村国家公安委員長は閣議後の会見で、「ハーフライフル銃を必要とする人が、適切に所持の許可を受けられる運用にする。国会で早期に可決・成立することを期待する」と述べました。
【改正案見直しの経緯】
ハーフライフル銃は威力や命中精度が高く、射程距離も長いことから道内ではエゾシカやヒグマの駆除で使用されています。
全国で所持の許可が出ているおよそ3500丁のうち、半数の1700丁あまりを道内で占めているほか、若手ハンターのほとんどが使用しているという事情もあり、エゾシカ協会やヒグマの会、それに道猟友会からは反対の声が相次ぎました。
また、道も駆除対策への影響が懸念されるとして、警察庁などに対し、道内の事情に十分配慮するよう申し入れを行っていました。
【猟友会「かなり改善された」】
ハーフライフル銃の規制強化に反対していた北海道猟友会の堀江篤会長は、若手ハンターなどを対象に許可の特例を設ける方針が示されたことを受けて、「凶悪事件については銃を持っている人やハーフライフル銃が悪いのではなく、事件を起こした人が悪いというわれわれの話を理解してもらい、かなり改善された。改正がよい方向に進み、『しかたがない』と思える形におさまった」と話しました。
【専門家【一定の評価」】
銃刀法の改正案について、狩猟管理学が専門で酪農学園大学の伊吾田宏正准教授は「ハーフライフル銃の規制で初心者による捕獲数の減少や高い技術を持ったハンターの育成に重大な支障が出ると懸念していたが、初心者でも所持できる特例が設けられることについては一定の評価ができる」と述べました。
一方で「特例は通達で示されるので、国会の審議をへることなく行政が改正・廃止できるのは問題だと思う。地域社会の存続に関わる鳥獣被害の対策に支障が出るのを避けるには特例ではなくしっかりと法律の条文に盛り込むべきで、国会で議論する余地がある」と指摘しました。