【独自】函館市 3回実地指導するも身体拘束など把握できず

函館市にある特別養護老人ホームで入所者への不適切な身体拘束が明らかになった問題で、市は昨年度までの5年間に3回、法律に基づいて施設に立ち入りを行い実地指導をしていましたが、身体拘束などの問題を把握できていなかったことがわかりました。

函館市の特別養護老人ホーム「恵楽園」では入所者のベッドを柵で囲って行動を抑制するといった、介護保険法などで原則、禁止されている身体拘束が日常的に行われていたことが明らかになり、市が調査を進めています。
NHKはこの施設に対して、指導監督する立場の市が法律に基づき昨年度までの過去5年間に実施した実地指導の記録を情報公開請求で入手しました。
それによりますと、実地指導は▽おととしと▽4年前、それに▽6年前の3回行われていて、いずれの指導の記録にも▼「やむをえない場合をのぞき身体的拘束を行っていないか」や、▼「入所者の人格に十分配慮して介護サービスを提供しているか」などの項目に「問題ない」ことを意味する「適」と記されています。
施設側は身体拘束はおととし以前から行われていたと明らかにしていて、3回の実地指導のうち、少なくともおととしの指導では身体拘束などの問題があったにも関わらず把握できていなかったことがわかりました。
函館市の担当者は「実地指導は施設側の自己点検に基づくもので、市の指導に正しく回答してこなかったとみている。今後は適切に対応したい」と話しています。