ドローンでフランス料理運ぶ実験 道内でも進むドローン活用

新たな観光コンテンツを作り出そうと、ドローンを使ってフランス料理のフルコースを有珠山の展望台まで運ぶ北海道の実証実験が行われました。
広大な大地が広がる北海道では、ドローンを防災や観光など幅広い用途に活用しようと積極的な取り組みが進められています。

この実証実験は、ドローンの幅広い利用を促進し、新たな観光コンテンツを作り出そうと北海道が企画しました。
使われたのは冬場はあまり利用されることのない苗木を運搬するためのドローンです。
はじめに、有珠山のロープウエーの「山頂駅」でワインやあらかじめ用意された料理を配送用の箱に入れたあと、ロープでドローンに固定します。
続いてドローンを飛ばしておよそ250メートル先の展望台まで5分ほどかけて運びました。
ドローンは、前菜のサラダやかも肉を使ったメインデッシュ、それにデザートなどを5往復して順に運び、展望台では、スタッフがテーブルに並べられた料理を味わいながら、料理が飛行中に崩れていないことや、温かいまま食べられることなどを確認しました。
北海道デジタルトランスフォーメーション推進課の黒澤厚主査は、「今回の実験は非日常の体験としてとても可能性がある。北海道は広いが、人はそこまで多くなく、ドローンを飛ばしやすいので、用途はどんどん広がっていくと感じている」と話していました。
北海道では、今後、農業用のドローンで融雪剤をまく実験なども行い、ドローンの活用方法をさらに模索していくことにしています。

【道はドローンを積極活用】
道は、各地で実証実験を行っていて、去年2月には、大雪山系の旭岳で噴火状況の観察などを目的に、赤外線センサーを搭載したドローンを飛ばしました。
噴火や登山者の遭難を想定した実証実験では、ドローンを使って、▼火口の噴煙の温度を計測したり、▼肉眼では見つけにくい森の中の遭難者を発見したりしていました。
また、同じ去年2月には、当別町でドローンでダムを撮影し、異常がないかを点検する実証実験も行われました。
雪が積もる時期には点検が難しくなるダムを上空から確認することができることから、道はインフラの管理にもドローンを活用していくことにしています。
一方で、寒さの厳しい冬には、バッテリーの消耗が激しく、プロペラが凍りつくなどの課題も指摘されていて、安全に利用するために冬場の飛行のガイドラインも作成しています。
さらに、ドローンを持続的に活用していくには、維持管理コストや採算性が課題となっており、1つのドローンをさまざまな形で活用する「マルチユース」の検討も行われています。

【道内各地の自治体でもドローン活用した取り組み】
道内各地の自治体でもドローンを活用した取り組みが行われています。
このうち、空知の新十津川町では、町の基幹産業である農業でドローンが活用されてきた経緯があることなどから「ドローンのまち」を掲げています。
先月28日には、子どもから大人まで幅広い人たちにドローンに親しんでもらうおうと、初めての「ドローンフェスタ」が開催され、およそ1500人の来場者がドローンを使ったサッカーやカーリングなどを体験しました。
町では、ドローンの使い方を学ぶことができる学校を立ち上げたり、将来的にはドローンを使った買い物代行サービスなども検討したりしていて、人口減少や担い手不足をはじめとする地域の課題の解決に向けて、ドローンを活用していきたい考えです。
また、札幌市は、去年12月、市街地周辺の山林にこれから冬眠するクマがいるかどうかを確認する初めての調査でドローンを使いました。
市は、サーモグラフィーカメラなどを搭載したドローンを南区中ノ沢にある山林の上空およそ120メートルの高さまで飛ばし、映像に映る動物の影を拡大するなどしてクマかどうか調べました。
この日の調査では、クマは確認されませんでしたが、映像には複数のシカが映っていたということです。