羅臼沖 シャチ約10頭が流氷に囲まれ身動きとれず

6日朝、羅臼町の沖合でシャチおよそ10頭が流氷に囲まれて身動きがとれなくなっているのが見つかりました。流氷に覆われて近づけないということで、羅臼町は「流氷が崩れて逃げ出すのを見守るしかない」としています。

羅臼海上保安署によりますと、6日午前8時半ごろ、羅臼町の沖合でシャチが流氷に囲まれて動けなくなっていると、地元の漁業者から連絡がありました。
午前10時すぎに羅臼町の沿岸で地元の人が撮影した映像では、沿岸からおよそ1キロ離れたところで、シャチが流氷の間でもがくような動きをしていました。
また、同じ時間帯にトドなどの調査をしていた民間業者が陸上からドローンを飛ばして撮影した映像では、海一面が流氷で覆い尽くされた中およそ10頭のシャチが流氷に囲まれて身動きがとれなくなっている様子が確認できました。
民間業者によりますと、午後4時ごろには午前中に確認した場所から北東におよそ2キロ離れた沖合で流氷に囲まれ身動きが取れなくなった17頭ほどのシャチを確認したということです。
釧路地方気象台によりますと、羅臼町など根室地方には6日朝まで着氷注意報が発表されていて、波しぶきがあたって流氷の面積が拡大した可能性があるということです。
羅臼町によりますと、町の沖合では2005年にもシャチが流氷に囲まれて身動きがとれなくなり、このときはほとんどのシャチが死んだということです。
沖合まで流氷で覆われているため船で近づいて救出活動などをすることはできないということで、羅臼町は「流氷が崩れるなどして逃げ出すのを見守るしかない」としています。

【ドローンで撮影した人は「元気良くないように見えた」】
羅臼町沖で流氷に囲まれたシャチを目撃し、ドローンから撮影したという合同会社「ワイルドライフプロ」の土屋誠一郎さんは「午前10時ごろ、沖合1キロほどに10メートル四方もない穴から13頭ほどのシャチが頭を出して必死に呼吸しているのを見つけた。中には3、4頭ほど子どものシャチもいるように見えた。元気はよくないように見えた」と話していました。

【専門家は】
シャチの生態に詳しい東京農業大学の小林万里教授は「シャチは哺乳類なので、海氷上で息継ぎをすることが必要だ。予想以上に流氷が広がっていて息継ぎする場所を見つけられていなかったのではないか」と分析しました。
また、民間業者が撮影した映像の中には子どものシャチも3頭ほど見えたということで、「シャチは家族を大切にする社会性の強い生き物なので、泳ぐ能力が低い子どもを置いていかず、親も一緒に残っているのではないか」と指摘しました。