海外スタートアップ企業 十勝で農業法人などを視察 ねらいは

ITを使った農業技術や食品リサイクルなどで強みを持つ、海外のスタートアップ企業が十勝地方を訪れ、連携に向けて農業法人などを視察しました。

十勝地方を視察に訪れているのは、北欧やオーストラリアのスタートアップ企業5社で、いわゆる「野菜工場」などで取り入れられているITを使った農業技術や食品リサイクルなどをそれぞれ手がけています。
5日、5社の関係者が十勝の農業法人や大学、それに市場などを視察し、このうち幕別町の農業法人では、規格外の小麦を燃料にして農業用ハウスの中を暖め、作物の生育時期を早める工夫をしていることなどが紹介されました。

【オーストラリアから参加】
視察の参加者の1人、アンガス・ラムさんは、オーストラリアのスタートアップ企業で、「わさび」の新たな栽培技術の開発を行っています。
5日視察した幕別町の農業法人では、農業用ハウスでわさびも栽培していて、ラムさんは、ハウス内の明るさやほ場に流し込まれている地下水の水質などを細かく確認していました。
ラムさんの会社ではわさびの栽培に使用する水の量を従来の農法よりも大幅に抑えられる技術の開発を進めていて、わさびの生産が盛んな日本で自社の技術を普及させたいと考えているということです。
会社では、来月にも札幌にビジネスの拠点を移す予定だということで、「伝統的な農業から、新しい技術を使ったステージに進まなければならない時が来ています。わさび生産の新しい技術を日本に提供し、農業の現場を助けたいです」と話していました。

【ノルウェーから参加】
一方、ノルウェーから参加したデビッド・アンドリュー・クイストさんは、食品加工工場の廃水からたんぱく質を取り出し、養殖サーモンなどのエサとして活用する技術の開発を行っています。
ヨーロッパでは食品廃棄物をいかに活用し持続可能な社会を作っていくかに関心が高く、視察の参加者たちはこの農業法人が取り入れている、規格外の小麦を燃料にして農業用ハウスを暖める技術に注目していました。
クイストさんは「廃棄物を活用することで循環型のシステムを作っていきたいです。日本でも考え方はいっしょで高い技術もあるので、農業がさかんな北海道で良いパートナーを見つけたい」と話していました。

【視察を受け入れた農業法人の役員は】
視察を受け入れた農業法人の藤原昇常務取締役は「環境に配慮した技術では海外のほうが先進的な取り組みが多いので、新しい技術を教えてもらい、それをもとにおいしいものを作って世界に提供していきたい」と話していました。