帯広交際相手殺害 1審判決取り消し 審理差し戻し 札幌高裁

おととし帯広市で、交際相手の女性を殺害した罪などに問われ、1審で承諾殺人罪を適用され実刑を言い渡された被告について、札幌高等裁判所は「1審の判断は不合理だ」として判決を取り消し、地裁で審理をやり直すよう命じました。

帯広市の高校の教諭だった片桐朱璃被告(36)はおととし5月、市内の駐車場に止めた車の中で、交際相手で不倫関係にあった女性(当時47)の首を絞めて殺害し、遺体を遺棄したとして殺人と死体遺棄の罪に問われました。
1審の釧路地裁は去年、一緒に死のうとしたと主張する被告について「死ぬつもりはなかった」と認定した一方で、「被害者は自分だけが死ぬことを受け入れていた可能性がある」として、被告に殺人罪よりも量刑の軽い承諾殺人罪を適用し懲役6年6か月を言い渡していました。
11日の2審の判決で、札幌高裁の成川洋司裁判長は「被害者は被告から『もう死ぬしかない』と言われて一緒に死ぬことを決意したと考えられ、受動的に従っていたにすぎず、1審の判断は被害者の当時置かれた状況や心理状態などを見過ごしているとの批判を免れ得ない」と指摘しました。
そのうえで、「抵抗した様子が見られないからといって、被害者が自分だけが死ぬことを受け入れた可能性があると推認するのは論理に飛躍があり、不合理だ」と述べて、承諾殺人罪が成立するとした1審判決を取り消し、釧路地裁で審理をやり直すよう命じました。
審理のやり直しを命じた11日の判決について、札幌高等検察庁は「検察側の主張が認められた」とするコメントを出しました。