函館 大量打ち上げのイワシ 大規模な回収作業終える

今月上旬、函館市の海岸に打ち上げられた大量のイワシについて市は、27日までにおよそ530トンあまりを回収し、大規模な回収作業を終えたと発表しました。

今月7日、函館市浜町の海岸にイワシなどの魚が大量に打ち上げられ、市などは今月12日から重機を使って回収作業を進めてきました。
市によりますと、打ち上げられたイワシなどの魚は推計600トンに上り、このうち537トンあまりを26日までに回収し、焼却処分にしたり埋め立てたりしたということです。
27日は現場から重機が撤去され、市はおよそ2週間にわたった大規模な回収作業を終了したと発表しました。
今後、海中に漂流しているイワシが浜に打ち上げられた場合は手作業で回収するということです。
函館市農林水産部の松浦眞人部長は「近くの漁港などできのうも水中を調べたが微生物に分解された残骸が残っていた。回収作業はいったんこれで終えるが、定期的にパトロールし、状況に応じて対応できるようにしたい」と話していました。
【ほぼゼロに低下した海中酸素濃度は回復】
イワシなど大量の魚が打ち上げられた函館市の海岸に近い漁港などでは海中の酸素濃度が一時、ほぼゼロにまで低下し、水質の悪化が懸念されていましたが、26日の時点で、基準とされる濃度を上回り回復していることがわかりました。
函館水産試験場や函館市などは、漁業への影響を調べるため、魚が打ち上げられた海岸に近い戸井漁港などで海中の酸素濃度を調べていて、魚の打ち上げから7日目の今月13日の時点では、ほぼゼロの値にまで極端に低下しているのが確認されていました。
海中の酸素濃度は水生生物が生息する環境として1リットルあたり6ミリグラム以上を維持するのが望ましいとされていて、これより低いと水産業に被害が出るおそれがあるということです。
このため水産試験場などが26日、漁港内などで改めて酸素濃度を調べたところ、いずれの地点も基準を上回り、回復しているのが確認されたということです。
また海の中を水中カメラで調べたところ、個体として残るイワシなどは確認されず、微生物により分解された残骸がほとんどだったということです。