知床観光船沈没 前年事故の調査結果公表 船長の経験不足指摘

去年4月に起きた知床半島沖の観光船の沈没事故をめぐり、国の運輸安全委員会は同じ船が前の年に起こした2件の事故の調査結果を公表し、原因や背景にそれぞれの船長の経験不足があったと指摘しました。沈没事故でも船長の経験不足が指摘され、運輸安全委員会は海域の特性を把握することや安全を最優先にすることが事故防止に重要だとしています。

去年4月、知床半島の沖合で「知床遊覧船」の観光船が沈没し、乗客と乗員20人が死亡、6人が行方不明になっています。
船舶などの事故調査を行う国の運輸安全委員会は、観光船が前の年に同じ海域で起こした2件の事故の調査結果を21日、公表しました。
おととし5月、航行中の船で甲板への取り付け部分が壊れていすが移動し、座っていた乗客3人が軽いけがをした事故では、定置網のロープなどに接触して速力が急速に落ちたことが原因だとしています。
おととし6月、浅瀬に乗り上げた事故では、船長が、浅瀬の位置などの詳細を把握しないまま、観光する時間を確保しようとコースから外れて陸側を航行したことが原因だとしています。
いずれの調査結果でも、事故の原因や背景に船長の経験不足があったと指摘しています。
去年4月の沈没事故を含め3件の事故の船長はいずれも別の人物だということですが、沈没事故の調査結果でも船長の経験不足が指摘されています。
運輸安全委員会は同じような事故の発生を防ぐには、▼航行する海域の特性を把握することや▼旅客の安全を最優先にすることが重要だとしています。