札幌 大通公園に喫煙所設置 分煙の実証実験 市のねらいは

札幌市は大通公園での分煙対策を進めようと、屋根や扉がなくパネルで仕切られた喫煙所を西5丁目のエリアに試行的に設置し、公園内での喫煙の状況がどのように変化するかを確認する実証実験を4日から始めました。

パネルで仕切られた喫煙所が設けられたのは、札幌市中央区にある大通公園の西5丁目のエリアです。
公園の中の幅2.7メートル、奥行き7.5メートルのスペースに、2.4メートルの高さまでパネルで仕切られた喫煙所と灰皿が新たに設置されています。
札幌市によりますと、大通公園のうち西5丁目から西側は市が指定する「喫煙制限区域」の範囲外となっていますが、おととし市が市民を対象に行った調査で大通公園の不満に感じる点を複数回答で尋ねたところ「公園内で喫煙している人がいる」がおよそ3割を占めました。
試行的に設置された喫煙所を利用した札幌市の50代男性は、「ビルに喫煙場所がなくあると助かるので、これからも使いたい」と話していました。
日頃から散歩で公園を利用しているという70代の女性は、「路上喫煙をあちらこちらでよく目にしていたので、子連れの人にとっては嫌だろうなとは思っていた。喫煙者が散らばらずに1か所に集まるのはいいと思う」と話していました。
たばこを吸わないという70代の男性は、「喫煙所は根本的には要らないかなと思うが、吸い殻を散らかさないという意味ではよいのではないか」話していました。
札幌市では再来年3月までこの喫煙所を設置し、利用状況や公園内での喫煙の状況がどのように変化するかを確認することにしていて、「たばこを吸う人も吸わない人も公園を利用しやすいと感じてもらえるよう実証実験を通じて検証したい」としています。
※「喫煙制限区域」とは
札幌市は条例で、人通りが多い市の中心部を「喫煙制限区域」に指定しています。
「喫煙制限区域」の範囲は、▽北8条通から南4条通までの南北と、▽西1丁目から西4丁目までの東西のエリアで、喫煙制限区域内では、道路や公園などといった公共の場所で、歩いている時や吸い殻入れがそばに設置されていないところで、たばこを吸ったり火の付いたたばこを持ったりする喫煙が禁止されています。
区域内を中心に巡回している指導員が違反行為を確認した場合、1000円の過料が科せられます。
一方で、加熱式たばこについては、喫煙制限区域内の公共の場所で喫煙しても過料の対象とはなりませんが、カートリッジなどを路上に捨てた場合は過料の対象になるということです。
※市民アンケートの詳細
札幌市はおととし、15歳以上の市民480人を対象に、大通公園についてインターネットでアンケート調査を行いました。
それによりますと、▼大通公園の不満に感じる点を複数回答で尋ねたところ、▽「スケートボードに乗る人が危ないと思う時がある」が35.2%と最も多く、▽次いで「公園内で喫煙している人がいる」が33.3%でした。
また、▽「自転車に乗る人が危ないと思う時がある」は30.6%、▽「トイレやベンチなどの施設が古くて汚い」は26.7%でした。
▼さらに、大通公園での喫煙についてどう思うか尋ねたところ、▽「不快に感じる」が62.9%、▽「やや不快に感じる」が18.5%だった一方、▽「あまり不快に感じない」は12.3%、▽「不快ではない」は6.3%でした。
▼大通公園での喫煙を不快に感じる理由を複数回答で尋ねたところ、▽「吸い殻のポイ捨てがあるため」と▽「受動喫煙が発生するため」がいずれも70%を超えたほか、▽「たばこの臭いが苦手なため」は60%を超えました。