「劣悪な労働環境」牧場経営者家族と恵庭市訴えた裁判の初弁論

恵庭市の牧場で住み込みをしていた知的障害のある男性3人が長年、劣悪な環境で働かされ賃金も支払われなかったなどとして、牧場の経営者家族と市を訴えた裁判が、28日から札幌地方裁判所で始まり、原告側の弁護士は「明らかな人権侵害だ」と主張しました。一方、被告側は訴えを退けるよう求め、争う姿勢を示しています。

原告となったのは知的障害のある60代の男性3人で、恵庭市の「遠藤牧場」でそれぞれ18年から45年にわたって住み込みで働いていましたが、その間、▼水道が通っていないプレハブ小屋で寝起きし、休みなく働かされた上、▼賃金がまったく支払われなかったほか、▼牧場主らに障害年金の口座から少なくともあわせて5100万円余りを無断で引き出されたと主張しています。
また、恵庭市も情報提供があったのに問題を放置していたなどとして、3人は牧場の経営者家族と市にあわせておよそ9400万円の損害賠償を求めています。
28日、札幌地裁で1回目の口頭弁論が開かれ、原告側の代理人の弁護士は「牧場での処遇は明らかに人権侵害だ。裁判所には3人が知的障害者である前に人間であることを強く意識してもらい、牧場で行われた処遇が許されるのか、市が義務を果たしたと言えるのか慎重に判断してほしい」と訴えました。
一方、被告側は法廷で直接、意見を述べることはありませんでしたが、原告の訴えを退けるよう求めて争う姿勢を示しています。