クマに襲われたか 大千軒岳の遺体は函館の男子大学生と判明

道南の福島町などにまたがる大千軒岳で見つかった遺体は函館市の22歳の男子大学生だとわかりました。近くでは先月31日にも別の登山グループがクマに襲われ、2人がけがをしていて、警察などは同じクマの可能性もあるとみて、詳しく調べています。

今月2日の昼ごろ、大千軒岳の6合目付近の登山道から外れたやぶの中で人が倒れているのを道の防災ヘリコプターが見つけました。
警察の調べで、遺体は函館市に住む北海道大学の22歳の大学生と確認されました。
死因は出血性ショックで、警察は現場や遺体の状況などからクマに襲われたとみています。
大学生は先月29日に友人に「大千軒岳に登山に行く」と伝えていて、登山口の駐車場には車が残されていたということです。
この山では先月31日にも別の男性3人のグループがクマに襲われ、2人がけがをしています。
この際、クマをナイフで刺すなどして追い払っていて、今月2日には同じ個体とみられるクマが死んでいるのが見つかっています。
クマが死んでいた場所と、大学生の遺体が見つかった場所が近いことなどから、警察などはこのクマが大学生を襲ったあと男性グループを襲い、その後、死んだ可能性もあるとみて、詳しく調べています。
亡くなった大学生は函館市にキャンパスのある北海道大学水産学部の4年生で、来年春には大学院への進学も決まっていたということです。
北海道大学水産学部の都木靖彰学部長は「志半ばの若い命が失われたことに対し、深い悲しみを感じると同時に、ご遺族の皆様のお気持ちをお察しすると心が痛みます。亡くなった学生のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様には心から哀悼の意を表します」とするコメントを発表しました。
【専門家は】
クマの生態に詳しい酪農学園大学の佐藤喜和教授は「秋はたくさん食べ物を食べて皮下脂肪を蓄え冬眠に向かうという季節だが、ことしは
一番重要なエサとなるどんぐりなどが不作から凶作という地域が多く、本来であればもっともっと食べたいのに食べるものが十分になく、いつもより広い範囲を動きまわる傾向にある」と指摘しています。
その上で11月いっぱいは注意して欲しいとし「雪が降る前の気持ちのいい季節だが、クマの動きは例年とは違う。山では絶対に単独で行動せず、複数で行ってもらうか、避けられるならば行かないというのも1つの選択肢だ」と話しています。