人材派遣会社 道・苫小牧市に1億7300万円余の過大請求

道と苫小牧市から委託を受けて介護職員の派遣業務などを行っている人材派遣会社が、昨年度までの5年間にあわせて1億7300万円あまりを道と市に過大に請求していたことがわかりました。会社側は、道と市の指示に従い、すみやかに返還するとしています。

東京に本社がある人材派遣会社「シグマスタッフ」の発表によりますと、平成30年度から昨年度にかけて、道と苫小牧市からそれぞれ委託を受けた介護職員の派遣業務などあわせて3つの事業で、委託料のうち▼道から1億4000万円あまり、▼苫小牧市から3300万円あまりの、あわせて1億7300万円あまりを過大請求していたということです。
ことし9月に道と市からの指摘を受けて明らかになったということで、社内調査の結果、▼派遣職員の管理などを担当する社員の勤務実績について、道の業務だけ行ったのに市の分も重複して請求したり、▼実際には生じていない架空の経費を請求したりするなどして、請求額を不正に水増ししていたということです。
不正が起きた原因について会社は「経費の請求額が契約で定める上限を下回れば、翌年の契約で上限が引き下げられるおそれがあると認識し、支店の担当者が主導して行った」と説明しています。
これまでに、札幌支店の管理職を含む7人の社員が不正に関与していたことが確認され、このうち5人はすでに退職しているということです。
鈴木由生社長は会見で「道民や苫小牧市の市民に多大なるご迷惑をおかけし深くおわび申し上げます。道と市の指示に従い、適切なタイミングで返還し、再発防止と信頼回復に努めていく」と述べました。
会見した道の担当者は、「会社から提出された書類は整っていたので、不正を見抜くことができなかった。今後は、委託の期間中に資料の提示を求めたり、実地検査を行ったりして、再発防止に努めたい」と述べたうえで、今後、会社に対して過大請求された委託料の返還を求めるとともに、刑事告訴の必要性についても検討していく考えを示しました。