道が生成AIの試験運用スタート 道内の企業でも活用進む

道は業務の負担軽減につなげようと、文章などを自動的に作り出す生成AIを活用したシステムの試験運用を始めました。

対話ソフトの「チャットGPT」をはじめとする生成AIは、文章や画像を自動的に作り出すことができることから、全国の自治体や企業で導入が進められています。
道庁では30日から利用を希望する職員など300人を対象に、システムの試験運用が始まりました。
このうちデジタル化を担当する部署では職員がパソコンのチャット機能で「各部署の取り組みを効果的に共有する方法を5つ提案してほしい」と依頼すると、10秒ほどで具体的な回答が返ってきました。
試験運用は来年3月まで行われ、事務的な業務を中心に文書の作成や要約などで活用することで業務の負担軽減につながるのか調べることにしています。
一方、情報漏えいのおそれが懸念されるとして、道は個人情報や機密情報を扱わないことを盛り込んだガイドラインを策定しました。
システムを利用した30代の男性職員は「回答をうのみにはせず正確性を検証しながら、アイデアやヒントを得る形で使っていきたい」と話していました。
道情報政策課の守山英男情報基盤担当課長は、「アイデア出しの部分では職員の知識以上にいろいろな答えが出てくると一定の有効性がある。情報漏えいなどのリスクにも目を配りながら活用方法を検討したい」と話していました。
【生成AI 道内の民間企業でも】
生成AIを活用した動きは、道内の民間企業でさらに進んでいます。

札幌市中央区の会社は、主に企業向けに提供しているクラウドサービスの使い勝手をよりよくするのに生成AIを活用しました。
これまでのサービスでは、業務管理などができるアプリに使いたい項目をユーザーが手動で登録していく必要がありましたが、生成AIによって文章を入力するだけで必要な項目を自動で作成してくれるということです。
例えば、このサービスを使って「行ったことがある飲食店を管理するアプリをつくる」という場合、アプリのタイトルと簡単な説明文を3行ほど入力するだけで、「店名」や「住所」「ジャンル」など管理に必要と思われる項目を自動で作成してくれる上、アイコンの画像も自動で作成してくれます。
また、この会社では、生成AIをサービスに盛り込むだけでなく、自分たちの業務にも活用しています。
営業や採用の担当は顧客に対するメールや職種ごとの求人など、文章の作成に利用しているほか、技術職はプログラミングの入力やエラーの発見などに利用したりしているということです。
この会社では、すべての部署で生成AIが使われていて、社員のおよそ7割が利用しているということです。
インターパークの須田祐馬副社長は「生成AIが想像以上に業務の中に入ってきていて正直驚いている。効率化に加えて、新しいアイデアをくれるという点で質の向上にもつながっている」と話していました。
【相次ぐ導入 政府は年内にもガイドライン】
生成AIをめぐっては石狩の当別町で、今月から本格的な導入が始まったほか、道内のほかの自治体でも導入に向けた動きが相次いでいます。
ただ、安全性のリスクも懸念され、規制や活用に向けたルールづくりが課題となっていて政府は有識者会議を設けて年内にもガイドラインをまとめることにしています。