妊娠望む患者に道の支援制度 “もっと広まって”

今月は「乳がん月間」です。乳がんは女性のがんの中で最も患者数が多く、9人に1人が発症するとされています。早期に治療することで命が助かる患者が増えていますが、抗がん剤や放射線治療の影響で卵巣や精巣など生殖機能にダメージを受け、将来、不妊になる恐れがあります。こうした中、道は去年1月から卵子を凍結保存する費用などを補助する制度を設け、将来、妊娠を望むがん患者などの支援に乗り出しています。

【妊娠を望む乳がん患者】
北広島市に夫と5歳の娘と3人で暮らす35歳の女性は、去年10月、ステージ1の乳がんと診断されました。
女性は、がんを告知された直後、主治医に対して「将来子どもが欲しい」と伝えたところ、手術後に抗がん剤治療とホルモン治療が必要なタイプのがんなため、生殖機能に影響が出るかもしれず妊娠が難しくなる可能性があると説明を受けました。
主治医は同時に、女性に対して、治療後に備え、道の助成制度を利用し、卵子を凍結保存しておく選択肢を提示しました。
女性は手術後、抗がん剤治療が始まるおよそ2か月間で、制度を使って受精卵を保存しました。
制度を利用したことで、およそ80万円かかった費用のうち、57万円を助成金でまかなうことが出来ました。
女性は現在、3週間に1度、がんの投薬治療を受けていますが、治療終了後に、子どもを望めるかも知れないと思えることが支えになっているといいます。
女性は、「診断後にしっかりと情報を伝えてくれた医師にも感謝しますし、道の制度のおかげで費用の負担も軽くなった。今はがんを治すことを第1に考え、将来、妊娠できる可能性を残せたことを励みに治療に向き合いたい」と話しています。
【道の支援制度 指定の医療機関の多くが札幌市にあり、アクセスに課題】
道が去年1月に始めた、妊娠を望むがん患者などを支援する制度です。
支援を受けられるのは、道が指定した8つの医療機関で、▼卵子や卵巣組織、それに精子を凍結保存したり、▼採取した卵子を受精させて凍結保存したりする場合で、凍結保存時の年齢が43歳未満の患者です。1回あたり最大で40万円が補助されます。
補助は2回まで受けられますが、診断されてからがん治療が始まるまでの短い期間で、さまざまなことを決めなければならないことや、指定された医療機関の多くが札幌市にあるため、アクセスなどが課題となっています。
制度の立ち上げに携わった札幌医科大学齋藤豪医学部長は、「もうがんは死ぬ病気ではなく、がんは治る病気。さらには治療の前と同じような生活を歩めるようにするというのが今のがん治療の目的になってきます。治療が終わってしまってから実はこんな制度があったと気付くのが、一番ちょっと患者さんにとっては残念というか、あとから知って後悔することが一番いま心配しています。もっともっとこの制度が広まってほしい」と話しています。