キャンパス新設 道医療大・北広島市・Fビレッジが基本合意

石狩の当別町からプロ野球・日本ハムの新球場がある「Fビレッジ」にキャンパスを移転する北海道医療大学。10日、大学側と北広島市、それに「Fビレッジ」側のトップが集まり、キャンパスと病院を新設し、まちづくりを進めていくとして、基本合意書に調印しました。

10日は大学を運営する学校法人の鈴木英二理事長と、北広島市の上野正三市長、それに「Fビレッジ」を運営する会社の小村勝社長が、日本ハムの新球場「エスコンフィールド北海道」に設けられた会場で、基本合意書に調印しました。
合意により、北広島市とファイターズ側、それに大学が連携して今後、まちづくりに取り組むことになります。
記者会見で大学は、5年後の2028年4月に現在は駐車場として使われている「Fビレッジ」の北側に1万7700平方メートルの新しいキャンパスをおよそ420億円の費用をかけて設置することを明らかにしました。
また、大学が運営する札幌市にある大学病院と当別町にある歯科クリニックも北広島市に移転し、統合していくということです。
大学の運営法人の鈴木理事長は、「大学の使命は、教育と研究、社会貢献の3つにあると言われています。このまちづくりに大学としてできる役割を果たしていきたい」と話していました。
【Fビレッジの運営会社は】
Fビレッジや日本ハムの新球場を運営する「ファイターズスポーツ&エンターテイメント」はFビレッジで、産官学をパートナーにして、球場を中心とした新しい形の街づくりを進めていて今回の北海道医療大学の移転もこの構想の一部になります。
運営会社の前沢賢取締役は記者会見で、Fビレッジに教育機関を誘致することは、新球場のプロジェクトが始まった2015年から目指していたと説明しました。
大学が移転してくる効果については、「Fビレッジに幅広い世代が訪れることによってより活性化する。いままではスポーツエンターテインメントによる非日常性だったが、日常的に訪れる施設ができて、より街になっていくことを期待したい」と話しました。
今回の移転をめぐって、前沢取締役は、大学側とおよそ1年前から交渉が始まったことを明らかにしたほか、報道陣から、「ファイターズ側と大学側、どちらから先に話を持ちかけたのか」と質問されたのに対して、「私たちからということでいいです。私たちが悪者になったほうが、やりやすいのではないですかね」と話しました。
段階的に開発が進められるFビレッジでは、施設の建設が可能なエリアが8つあって、事業者と交渉を進めていることも明らかにして、「積極的に誘致していきたい」と話しました。
【北広島市民の反応は】
北海道医療大学がプロ野球、日本ハムの新球場がある北広島市の「Fビレッジ」にキャンパスと病院を新設することについて、市民からはさまざまな声が聞かれました。
北広島市に40年ほど住んでいる70代の女性は、「知り合いでも、手術などが必要な時は札幌の病院にかかっているので大きな病院が近くにできるという安心感はあります」と話していました。
20代の男性は、「Fビレッジの中に大学や病院ができるのは、ほかにはない新たな取り組みだと思うので、移転についてはシンプルにうれしいです。北広島市は今、まちが発展してきているので学生も来やすいと思います」と話していました。
70代の女性は、「球場ができてにぎやかになったので、医療大が来ればさらに活気が出ていいですね。ただ、敷地が狭そうで、今でも駐車場が足りないと言われているので、建てる場所は近くの別の空き地がいいのではないかと思っています」と話していました。
70代の男性は、「北広島市にとってはいいことですが、大学がなくなる当別町のことを考えると、少しかわいそうです」と話していました。
【北広島市の上野市長は】
基本合意書の調印について、北広島市の上野正三市長は記者会見で「北広島市としては、きょうの基本合意をスタートに、『共同創造空間』の実現に向けて必要な準備を進めていく所存だ。北海道医療大学には、計画の着実な実現に向けて、関係各所への丁寧な対応をお願いしたい」と述べ、現在、大学関係の施設がある当別町などと丁寧にやりとりしていくよう求めました。
新球場の近くに今後建設される予定の新しい駅について、北広島市は、2027年度末までの完成を目指して、現在、JRから示された建設計画の案について検討を進めています。
これについて、北広島市の担当者は記者会見で、「大学は2028年4月の開設を目指している。新駅についてはしかるべき時期に判断するが、大学と新駅の開業時期を近づける努力が必要だと思う」と述べました。
【振興局などが相談窓口設置】
道の石狩振興局は、北海道医療大学の移転によって当別町内で学生向けに経営しているアパート事業者や飲食事業者などに影響が懸念されるとして、10日付けで、相談窓口を設置しました。
窓口では、事業者からの経営に関する相談に応じるほか、状況に応じて国や道、金融機関の融資制度や支援制度を紹介することにしています。
また、このほかにも当別町と地元の商工会は同様の相談窓口を10日付けでそれぞれ設置しました。