札幌市が2030年五輪パラ招致を断念 34年以降目指す方針

2030年冬のオリンピック・パラリンピックの招致を目指してきた札幌市は、東京大会をめぐる不祥事などを受けて、十分なPR活動が行えず市民に理解を広げることが難しいとして2030年大会の招致を断念し2034年以降を目指す方針を固めました。

札幌市は2030年冬の大会の開催を目指して招致活動を行ってきましたが、おととし夏の東京大会をめぐる汚職や談合の事件を受けて去年12月から機運醸成のための活動を休止し透明性や公平性を確保しようと大会経費や運営体制の見直しを進めていました。
一方でPR活動を十分に行えない状況は続いていて、関係者によりますと札幌市は市民に理解を広げることが難しいとして2030年大会の招致を断念し2034年以降を目指す方針を固めました。
札幌市の秋元市長は来週にもJOC=日本オリンピック委員会の山下会長と面会しこうした意向を伝えるものとみられます。
これまで山下会長は2030年の札幌招致について極めて厳しい状況にあり2034年以降の招致も検討する考えを示していました。
【秋元市長「11日に山下会長と相談」】
札幌市が2030年大会の招致を断念し、2034年以降を目指す方針を固めたことについて、札幌市の秋元市長は6日午前、記者団の質問に答えました。
秋元市長は、「いろいろな方向性についてさまざまな方と協議しており、JOCとも協議して方向性を決めていくことになる。東京大会の事案などを踏まえ、招致を実現するためにどう進めていくべきか、来週11日に東京で山下会長とお会いし、相談する方向で調整している」と述べました。
その上で、「東京大会の不祥事を受けて運営の見直しを進めているが現時点では住民の理解や支持が進んでいるとは言えない状況だ」と述べました。
【招致断念の方針に市民は・・・】
市民からは妥当だという意見のほか、招致活動についての要望が聞かれました。
厚別区に住む70代の男性は、「市民が開催に納得していないので仕方ないと思う。ただ開催することで、マイナースポーツを知る機会につながると思うので実現してほしい。そのためにも、札幌市には、開催する場合と、しない場合、両方の良い点と悪い点を判断材料になるよう明確にしてほしい」と話しました。
東区の30代の女性は、「経済効果があるなど開催するメリットがふわっとしている段階なので、どんなメリットがあるのか、市民に明確にしてほしい。開催の目標を2034年以降に伸ばして、再度、招致を考えることは妥当ではないか」と話していました。
また、中央区の60代の男性は、「札幌オリンピックを経験した世代なので、ぜひ開催してほしい。札幌市は開催の目標時期が伸びたことを前向きに捉えて、きょうから再度スタートを切ったつもりで開催に向けて積極的に取り組んでほしい」と話していました。