寿都町議会議員選挙が告示 「概要調査」への賛否焦点に

いわゆる「核のごみ」の最終処分地の選定をめぐり、全国で初めて「文献調査」が行われている後志の寿都町の町議会議員選挙が28日、告示されました。次の「概要調査」に進むことに賛成と反対のどちらの立場の議員が多数を占めるかが焦点となります。

寿都町では3年前から「文献調査」が行われていて、次の「概要調査」に進むには町長と知事の同意を得る必要があり、町議会は「文献調査」への応募を決めた片岡春雄町長の方針を支持する議員が過半数を占めてきました。
町は「概要調査」に進む前に住民投票を行うことにしていますが、片岡町長は同時に調査が行われている神恵内村のほかにも調査を受け入れる自治体が現れるまで実施しない方針を示しています。
こうした中、任期満了に伴う町議会議員選挙が28日告示され、9人の定員に対し、これまでのNHKの取材で「概要調査」に進むことに賛成の意思を示す候補者が5人、反対の意思を示す候補者が7人の合わせて12人が立候補しました。
選挙結果は今後の町の判断や住民投票にも一定の影響を与えるとみられていて、どちらの立場の議員が町議会で多数を占めるかが焦点となります。
投票は10月3日に行われ、即日開票されます。

【処分地選定手続きの現状】
「核のごみ」は高レベルの放射性廃棄物で数万年にわたって隔離する必要があり、最終処分場を設けて地下300メートルを超える深さに埋めることが法律で定められています。
処分場の選定にあたっては20年程度かけて3段階で調査が行われ、対象となった自治体には、最初の「文献調査」で最大20億円、第2段階の「概要調査」で最大70億円が交付金として支払われます。
寿都町では2020年から神恵内村とともに全国で初めて「文献調査」が行われていて、すでに2年程度とされる目安が経過しています。
現地でボーリングなどを実施する「概要調査」に進むには町長と知事の同意が必要で、町は事前に住民投票を実施し、町民の意向を確認することにしています。
一方、地元からは北海道だけの問題になることを懸念する声が上がっていて、片岡春雄町長はほかの調査地域が現れるまで住民投票を実施しない方針を示しています。
また、鈴木知事は道の条例などを理由に調査に反対の姿勢を示しています。
こうした中、27日、長崎県対馬市が「文献調査」を受け入れない意向を表明するなど、調査を行う自治体が増えない状況が続いています。

【“住民主体で決定を”】
「核のごみ」の最終処分に関する国の審議会で長年、委員を務めている東京電機大学の寿楽浩太教授は「最終処分場の問題は地域の通常の行政課題と比べて格段にハードルが高い。地域社会が概要調査の受け入れの可否を判断することにつなげるために選挙や住民投票の機会を通じて住民が主体的に決める必要がある」と話しています。
その上で、「議会の意見や住民投票の結果を踏まえて首長が判断するという手続きを踏むことが、地域の意思を様々なレベルで十分に反映したという理解につながる」と話しています。