人手不足の農業 退職前自衛官がインターン

人手不足が深刻な農業の現場で活躍してもらおうと定年退職を控えた自衛官を対象にしたインターンシップが鹿追町で行われました。

自衛隊では、部隊の勢力維持を目的にほとんどの隊員の定年退職の時期が50代と一般企業よりも早く、道では、人手が不足する農業の分野で再就職を促そうと、農協などと連携して4年前からインターンシップを行っています。
26日は、陸上自衛隊帯広駐屯地に所属する隊員など数年後に定年退職する50代の自衛官7人が参加し、鹿追町の5か所の牧場などを訪問しました。
このうち、約450頭の乳牛を飼育する牧場では、担当者から牛の体の仕組みについて説明を受けながら牛を触ったり、搾乳を体験したりしました。
この牧場では、首輪に付けたセンサーで牛1頭ごとの餌の量を管理し、牛舎の清掃などにも機械を導入していて、隊員たちは興味深そうに見学していました。
須崎久男2等陸尉(53)は「まだ若いので遊ぶよりは体を動かして仕事をしたいです。自衛官として身につけた体力と根性は農業で生かせると思います」と話していました。主催した十勝総合振興局農務課の※タカ橋雅志主幹は「現場を知ることで農業に興味を持っていただき、雇用につながることに期待しています」と話していました。

【記者解説:なぜ退職自衛官に注目?】
人手不足の「農業」の現場で「退職自衛官」が注目される理由。それは「若くて体力のある人材」の有効活用です。

道東には、帯広駐屯地をはじめとする駐屯地がいくつかあり、地元に住む自衛官が数多くいます。自衛官は多くが50代で定年となるため、年齢・体力的にも退職後に再就職することが一般的です。特に自衛官は、体力はもちろんのこと、重機など特殊な免許を持っていることも多く、農業の現場で活用できると期待されているんです。
26日に取材した自衛官の中には、実家が農家という隊員もいて、農業にもともと親しみがある人材が多いことから、雇用の促進につながるのか今後の展開を注目していきたいと思います。