「アイヌ神謡集」刊行100年 登別市でシンポジウム
アイヌ民族に伝わる物語を集めた「アイヌ神謡集」が刊行されてから100年を迎えたのを記念して、登別市で17日、シンポジウムが開かれました。
「アイヌ神謡集」は、政府に同化政策を強いられた中、現在の登別市出身の知里幸恵が、アイヌ民族が謡い継いできた物語を書き残した作品です。
「アイヌ神謡集」が刊行されてから8月で100年になったのに合わせて、登別市で17日、シンポジウムが開かれ、アイヌ語やアイヌ文化の研究者など5人が登壇しました。
この中で、札幌大学の本田優子教授は、「アイヌ神謡集」の序文に触れ、「知里幸恵が憧れた美しいアイヌ社会とその当時の現実の厳しさの両方を見なければならない」と述べました。
また、千葉大学の中川裕名誉教授は、この50年ほどで知里幸恵の名が広く知られるようになったと変化を説明したうえで、「アイヌ語を話したり、学んだりすることが珍しいことではないという社会を目指したい」と今後の目標を語りました。
主催した知里森舎の木原仁美副理事長は、「アイヌ神謡集を今まで知らなかった人にもすばらしさが伝わっていってほしいです」と話していました。