乗務員らに不当労働の疑い 労働組合が函館バスを告発へ

道南を中心に路線バスや都市間バスを運行する「函館バス」が、乗務員らと労使協定を結ばないまま不当な時間外労働などをさせているとして、労働組合が近く、社長ら2人と法人としての会社を労働基準法違反の疑いで告発する方針を固めたことが関係者への取材で分かりました。

関係者によりますと、「函館バス」ではおととし以降、一部の乗務員らと「36協定」と呼ばれる労使協定を結ばずに時間外労働や休日出勤をさせる一方で、組合側が改善を要求しても受け入れず、労働基準監督署の立ち入り調査にも応じていないということです。
このため労働組合は近く、▼社長と常務、それに▼法人としての会社を労働基準法違反の疑いで函館労働基準監督署に告発する方針を固めました。
NHKの取材に対し「函館バス」の森健二社長は「不当な労働行為は行わないよう配慮してきた。また、労基署の調査に強制力はなく、応じるかどうかは企業が判断することだ」と話しています。
【函館バスとは】
「函館バス」は創業79年で、社員数がおよそ270人。函館市内の本社のほか、道南各地に8つの営業所があり、路線バスなどを運行しています。コロナ禍もあり、利用者数は大幅に減少していて、R4年度はおよそ700万人と、5年前に比べ150万人近く落ち込んでいます。このため、慢性的な赤字経営で、昨年度は函館市から5200万円の補助金を受けたほか、国や道からもそれぞれ毎年、数億円規模の財政支援を受けています。