北海道大学でコロナ禍・ウクライナ戦争の研究への影響 講演

北海道大学でコロナ禍やウクライナ戦争が研究に与える影響についての講演が行われ、魚類学の研究者が貴重な標本が多くあるロシアに渡航できないことで、生物多様性の把握や資源保護に欠かせない新種の判定が困難になっている現状を説明しました。

講演を行ったのは魚類学が専門で深海魚を中心に10種類以上の新種を発見してきた北海道大学の田城文人助教です。
田城助教は、発見した魚が新種かどうかを判定して名前を付けることは生物多様性の把握や資源保護に欠かせないとした上で、コロナ禍になって世界的に新種の発表が減少していることを紹介しました。
その理由として新種かどうかを比べて判定する基準となる種の標本は世界各地にあり、研究者が直接赴く必要がある一方で、渡航が制限されているため研究活動が難しくなったことなどを挙げました。
そしてコロナ禍に続いて、ウクライナ戦争の影響で貴重な標本があるロシアへの渡航が難しくなったことで影響が長期化していると説明しました。
特に北海道ではロシアと地理的に近いことから、ロシアにある標本を元に新種を判定するケースが多いということで、田城助教は「北海道にはまだ分類がされていない生き物がたくさんいる。戦争は基礎的な研究にも影響を与えていることを知ってほしい」と話していました。