記録的猛暑で農作物の生育早まる コメ農家は影響を懸念

道北・オホーツク地方では、ことしの記録的な猛暑で8月、気温の高い日が続いたため、多くの農作物で生育のペースが平年よりも早くなっています。

道が9月1日時点でまとめた農作物の生育状況によりますと、道北・オホーツク地方では8月、平年より気温がかなり高い日が続き、日照時間も多かったため、多くの農作物で生育のペースが平年よりも早くなっています。
作物別にみますと、生育は平年と比べて水稲・コメは▼空知地方で10日、▼オホーツク地方で9日、▼留萌地方で8日、▼上川地方で7日、それぞれ早くなっています。
また、大豆は▼オホーツク地方と空知地方で8日、▼上川地方と留萌地方で6日、小豆は▼留萌地方で11日、▼上川地方とオホーツク地方で9日、早くなっています。
このほか、リンゴは▼上川地方で7日、▼空知地方で6日それぞれ早くなっています。
生育にあわせて収穫作業のペースも早まり、タマネギは▼上川地方で8日、▼空知地方で6日、▼オホーツク地方で5日、それぞれ早くなっています。
また、ジャガイモの収穫作業は▼オホーツク地方で2日早くなっています。

【コメ農家“暑さに対応するコメ作り学ばなくては”】
記録的な猛暑の影響でコメの生育が進んでいて、道内一のコメの産地、旭川市では例年より早く稲刈りが行われています。
旭川市は2022年のコメの▼作付面積が5600ヘクタールあまり、▼収量はおよそ3万6000トンと、ともに道内一の米どころです。
旭川市内のコメ農家、秦真一さんの水田では農業用機械を使って、黄金色に実った高さ70センチほどの「ゆめぴりか」を次々と刈り取っていました。
秦さんによりますと、ことしは記録的な猛暑の影響でコメの生育が進み、例年より1週間程度早く収穫の時期を迎えたということです。
コメの味は含まれるたんぱく質の量に左右されますが、秦さんはことしの猛暑の影響でたんぱく質の量が例年よりも多くなり、品質に影響が出ないか懸念しています。
秦さんは「連日、最高気温が35度以上という環境で農業を行うのは初めてでした。暑さに対応するコメ作りの技術をこれから学んでいく必要があると思っています」と話していました。
旭川市内の稲刈りは9月下旬まで行われるということです。

【上川農試“コメの品質は心配せず ビート・豆は褐斑病を懸念”】
猛暑によるコメの生育への影響について、上川農業試験場の谷藤健研究部長は「上川地方は事前の予測を超えるほど気温が高い日が続いたが、雨は適度に降った。高温に加えて雨が降らず、コメにひびが入る『胴割れ』の被害が多く出た2021年と比較して、ことしはイネの水分量を確保でき、生産者が田んぼの水の管理を徹底したこともあって、現時点では品質を心配していない」と話していました。
一方、コメ以外の農作物への影響については「気温と湿度の高い日が続いたため、ビートや豆などで葉に茶色い斑点が出て枯れる褐斑病などの病害が発生しやすい状況になっている」と懸念していました。
そのうえで、「この夏のように予測をはるかに超えた猛暑のダメージを完全に防ぐことはできないが、土壌の水分管理や防除などを適宜適切に行うことで、暑さの被害を最小限に抑えられる」として、生産者に改めて栽培管理の基本を徹底するよう呼びかけていました。