VR技術を使いゲーム感覚で楽しく“リハビリ”

VR=バーチャルリアリティーの技術を活用して、ゲーム感覚で楽しみながら高いリハビリ効果が得られるという医療機器が、札幌市の病院に導入されました。

この医療機器は、札幌市中央区にある病院が先月導入し、病気やけがの後遺症から回復するためのリハビリを行う際に活用しています。
患者は、座ったままの状態でVR用のゴーグルをつけ、目の前にあらわれる的に左右の手を伸ばす動作をおよそ10分間繰り返します。
前屈みになりながら左右の手を交互に伸ばすと、お尻やひざに力が入り、歩く際の体の動かし方に近い動きになるため、歩行の改善につながるほか、足のしびれの軽減などの効果もあるということです。
この病院では、足や背中を骨折したり脳卒中を患ったりして歩行機能に障害がある患者が、病気やけがの治療が終わり、日常生活へ移行する際のリハビリで、VRの医療機器を使うことにしています。
5日は、2か月前に脊椎を骨折し、順調に回復して2週間前からVRの医療機器を使ったリハビリに取り組んでいる70代の女性がゴーグルをつけて、ゲーム感覚で楽しみながらリハビリを行っていました。
女性は、「理学療法士と一緒に立ってリハビリを行うのも楽しいけれど、座って行うのもいいですね。背中にも効く感じです」と話していました。
病院によりますと、この機器を使う際は、通常のリハビリと同様に理学療法士1人が必ずついてリハビリを行いますが、直接手を握る機会が少ないため、接触感染のリスクが低くなり、感染症対策としてもメリットがあるということです。
また、災害時には被災地の病院や避難所などに貸し出してリハビリに活用できるとしています。
札幌中央病院リハビリテーション科の伊藤崇倫科長は、「楽しく運動できる医療機器で、体幹の機能にも効果があるということで導入した。楽しみながらリハビリを行い、機能回復を図ってほしい」と話しています。